トップ栄養専門家が語る「栄養神話10のウソ」 缶詰や冷凍より、新鮮な野菜や果物が健康的?

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しかし実際には、すべての植物性食品には必須アミノ酸9種類を含む20種類のアミノ酸すべてが含まれている、とガードナー教授は説明した。違いは、この20種類のアミノ酸の割合が動物性食品のアミノ酸の割合ほど理想的ではないことだ。

したがって、十分な量を摂取するには、豆類、穀類、ナッツ類など、さまざまな植物性食品を1日を通して食べ、十分な量のタンパク質を摂る必要がある。幸いなことに、ほとんどのアメリカ人は毎日必要十分な量以上のタンパク質を摂取している。「ほとんどの人が思っているより簡単なことだ」とガードナー教授は言った。

大豆摂取と乳がんリスクは科学的に示されていない

神話9:大豆ベース食品は乳がんリスクを上げる

大豆に含まれる植物性エストロゲン「イソフラボン」の高用量摂取は、乳がん細胞の増殖を促すことが動物実験でわかっている。「ただし、この関係はヒトの研究では実証されていない」と語るのは、ハーバード大学T・H・チャン公衆衛生大学院の教授で栄養学部長のフランク・フー博士だ。

これまでのところ、ヒトにおける大豆摂取と乳がんリスクとの関係は科学的には示されていない。それどころか、豆腐、テンペ、枝豆、味噌、豆乳など、大豆を原料とした食品や飲料の摂取は、乳がんのリスクや生存率に関して保護効果がある可能性さえある。

「大豆食品はまた、良質なタンパク質、食物繊維、ビタミン、ミネラルなど、心臓病リスク軽減に関連する有益な栄養素の宝庫でもある」とフー博士。研究結果から、自信を持って大豆食品を食生活に取り入れていいことは明らかだ。

神話10:基本的な栄養アドバイスは大きく変わり続けている

ニューヨーク大学の栄養学、食品研究、公衆衛生の名誉教授であるマリオン・ネスレ博士は、これは事実ではないとし、「1950年代、肥満、2型糖尿病、心臓病などを予防するための最初の食事勧告では、バランスよくカロリーをとり、飽和脂肪、塩分、糖分を多く含む食品を最小限に抑えることが推奨された。現在のアメリカの食事ガイドラインも同じことを勧めている」と語る。

確かに科学は進歩しているが、食事指導の基本は一貫している。作家のマイケル・ポーラン氏はこれを「植物を中心に、食べ過ぎず、食事をしなさい」というシンプルな言葉に集約した。このアドバイスは70年前にも有効だったし、現在でも有効だ、とネスレ博士は言う。そして、好きなものを食べる余地は十分に残っている。

(執筆:Sophie Egank記者)

(C)2023 The New York Times

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