コロナでも連続大幅黒字!「会員制ホテル」の秘密 決算から見るリゾートトラスト「独り勝ち」の訳

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帝国ホテルの22年3月期と23年3月期のP/Lを比較してみると、ホテル業は固定費がコストの多くを占める「固定費型」のビジネスになっていることがわかる(出所:有価証券報告書から筆者作成)

22年3月期と23年3月期のP/Lと比較してみると、売上高が437億7200万円と約1.5倍に増加し、材料費も95億5200万円へと増加している一方で、販管費は338億7100万円とほとんど増加していません

販管費の主な内訳を見てみると、人件費や賃借料、業務委託費、減価償却費などで占められていることがわかります。これらの費用は、売上高にかかわらず一定額が発生する、いわゆる固定費に近い性質を持つ費用です。

ホテル業は、こうした固定費がコストの多くを占める「固定費型」のビジネスになっているのです。

固定費型ビジネスの場合、売上高が費用を上回ると大きな利益を生み出すことになりますが、売上高が費用に満たない場合、大きな赤字を計上する傾向があります。

コロナ禍においてホテル各社の決算が大幅な赤字になったのには、こうしたコスト構造も大きく影響しています。

安定黒字の不動産賃貸事業でも「埋めきれない赤字」

帝国ホテルは、東京、大阪、上高地で展開するホテル事業に加えて、帝国ホテルタワーにおいてオフィスや商業施設の賃貸事業(不動産賃貸事業)を行っています。

そこで、事業別営業利益の推移(18年3月期~23年3月期)を見てみましょう。

帝国ホテルの不動産賃貸事業は安定した営業利益を上げているものの、ホテル事業の赤字を埋めることはできていない(出所:有価証券報告書から筆者作成)

 

ホテル事業の営業損益は21年3月期に118億4400万円の赤字、22年3月期には104億3200万円の赤字と、2期にわたって大きな赤字を計上しています。

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