コロナでも連続大幅黒字!「会員制ホテル」の秘密 決算から見るリゾートトラスト「独り勝ち」の訳
コロナ禍の影響がいまだ大きかった22年3月期における帝国ホテルとリゾートトラストの決算書を比較しながら、その理由について探っていきましょう。
コロナ禍で大きな赤字となった帝国ホテルの決算書
帝国ホテルの決算書から見ていきましょう。
B/Sの左側(資産サイド)で最大の金額となっているのは、流動資産(312億100万円)です。流動資産の多くを占めているのは、有価証券(159億500万円)、現預金(122億1600万円)であり、有価証券を含めて手元資金に近い資産がほとんどとなっていることがわかります。
次いで大きいのは、有形固定資産(150億1200万円)です。この大半は建物及び構築物(96億5100万円)となっており、ホテルの建物などが主に計上されています。一方、土地は27億8300万円しか計上されていません。
帝国ホテル東京は日比谷の一等地にあり、その土地の半分弱を保有していますが、実はこの土地の帳簿価額は200万円に過ぎないのです。これは、土地の帳簿価額が取得時の価額(取得原価)で表示されていることによります。
投資その他の資産(117億5500万円)の大半は投資有価証券(61億3400万円)で占められています。ここには取引先などの株式(いわゆる政策保有株式)のほか、運用目的で保有している債券などが含まれています。
続いて、B/Sの右側(負債・純資産サイド)を見ていきましょう。流動負債が68億1300万円、固定負債が143億2700万円となっていますが、ここには銀行からの借入金などの有利子負債は計上されていません。帝国ホテルは「無借金経営」を行っているといえます。
純資産は379億7000万円で、自己資本比率(=純資産÷総資本)は約64%となっています。
P/Lでは、売上高が286億1700万円であるのに対し、材料費が64億7200万円、販売費及び一般管理費(販管費)が332億6600万円となっています。
営業損失はマイナス111億2100万円で、売上高に対する営業損益の割合を示す売上高営業利益率(=営業損益÷売上高)はおよそマイナス39%と、大きな赤字を計上しています。
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