空港施設を「闇討ちしたJAL」、社長解任劇の舞台裏 事前通知なしに反対票、理由を語らない大株主

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5月下旬、取締役候補案が決議された後、空港施設は事前に大株主であるJAL、ANAHD、DBJに説明へと向かった。

DBJからは賛成する旨の返事があった一方で、ANAHDは当初から難色を示していたという。今回の取締役候補案では、JAL出身者は乘田氏と西尾忠男氏の2人に対して、ANA出身者は三宅英夫氏の1人のみ。同じ出資比率であるのに、取締役の数のバランスが崩れることに対して反対をしていた。

態度を明らかにしなかったのはJALだ。JALからは「社長に伝える」と返事があったのみ。賛成か、反対か明確な回答はなかったという。

ただ、空港施設としては、「検証委員会の報告書を読んでいれば、さすがにJALが反対票を投じることはないだろう」と考えていたようだ。2023年3月末、国交省OBの人事介入問題が明るみに出たことを受け、同社は独立検証委員会を設置し、ガバナンスの検証を行ってきた。

JALは事前通知なしに反対票を投じた

4月26日に受領した報告書には、役員の選任について、①役員選任の「指名方針」の策定、②出身母体の利益ではなく、空港施設の株主全体の利益追求、③国交省出身者役員選任に対するリスク管理が必要であると記述されている。

今回、株主総会に上程された取締役候補案はその内容に沿ったもので、事前に意見表明や株主提案もないまま、いきなり取締役の選任を否定する行動に出るとは空港施設側は考えていなかったようだ。

だが結果として、JALは事前通知なしに反対票を投じた。関係者によれば、前日までのインターネットによる議決権行使で、JALは乘田氏への反対票を投じていたという。反対の理由も伝えられておらず、空港施設側からすれば、JALに「闇討ち」をされたことになる。

JALはなぜ反対票を投じた理由を語らないのか。業界関係者の間では2つの理由が取り沙汰されている。

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