災害時の復旧は現場力に任せ、トップは中長期の判断に集中せよ


 PCセキュリティのシマンテックでは、その日のうちに翌週1週間の原則自宅勤務を決め、全員に連絡した。官公庁や大手電力会社などにテレビ電話会議システムを納めるポリコム・ジャパンでも、月曜日の混乱を見て、火曜日からは全員に自宅勤務を命令、希望者には大阪や九州など避難先での勤務も、在宅時と同レベルの通信環境整備を条件に認めた。

両社に共通するのは、全社員にノートパソコンが支給され、会社のサーバーに安全に接続できる仕組みをあらかじめ備えていることだ。シマンテックではPCやスマートフォンでの電話会議、ポリコムではビデオ会議による1日2回の経営会議のほか、必要に応じて部署単位の会議や、チャットによる情報共有を行い、顧客にも電話とネットで問題なく対応できた。

こういった外資系企業の場合、通常から本国との深夜の電話会議などがあり、自宅作業に慣れているという点もポイントだろう。ポリコムでは、通常より計画的な自宅勤務を推奨しているという背景もある。

通信の問題もある。過去活躍した携帯電話や携帯メールは、今回はほぼ不通、数時間の遅配も起こった。代わりに活躍したのはインターネット通信だ。特にツイッターやフェイスブックなどのSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)が、安否確認に役立った。災害を想定していたわけではないが、年末年始や夏休みなどアクセス集中時期の問題解消のために、仮想化などの対策が進んでいたことが功を奏した。現時点では最も非常時に強い通信とみられる。

ただし、これもサーバーを設置・運用しているデータセンターへの電力供給が保証されていることが前提であり、過度の依存は危険が伴う。

すべてのリスクに完全に対応することは不可能だ。どこまでを許容し、どこからコストとして積み上げるか、広い視野での判断が求められる。

(シニアライター:小長洋子 =週刊東洋経済2011年4月23日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

写真:福島第一原発 東京電力提供
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