京急線の「要衝」が激変?京急川崎駅の未来図 品川・羽田・横浜つなぐ「トライアングル」の中心

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大師線はかつて沿線に建ち並ぶ工場で働く人を運んでいた。近年はその跡地などを活用して開発されたマンションの住民たちの通勤通学や外出の足として利用されている。短い区間を健気に往復する電車、と日中はのんびりした雰囲気に違いないが、朝夕のラッシュ時間帯は1時間あたり12往復が走る実力派路線でもある。

京急川崎駅 大師線
3番線から出発した大師線の電車。左奥に高架の本線に上がる連絡線が見える(記者撮影)

地上の大師線と高架の本線は連絡線で繋がっていて、1日に数回、回送列車が行き来している。高架上の上下線の間には引き上げ線がある。2010年にエアポート急行が登場する前は、この引き上げ線で羽田空港発の特急(通称「D特」)を退避させ、京急川崎駅5番線であとから来る列車の後ろに連結する作業をしていた。

品川・羽田・横浜に近い

現在、京急川崎駅は、品川から日中に快特を利用した場合の所要時間はわずか10分。羽田空港第1・第2ターミナルとの間はエアポート急行を利用すると17分しかかからない。この好立地を生かして京急では駅北側の本線沿いに地上14階建て、199戸のマンション「プライム川崎」を建設中だ。近くの大師線沿いにはすでに「プライムスタイル川崎」がある。

生活事業創造本部すまい事業部の担当者、山本宗広さんは「川崎は京急が成長戦略で掲げる品川・羽田・横浜の『成長トライアングルゾーン』の中心地。シングルや共働き向けの1LDK・2LDKが主軸で売れ行きはかなり好調だ」と明かす。村山太一さんは「どこへ行くにしても便利な立地でありながら、駅周辺に商業施設がコンパクトにまとまっていて生活しやすいのが川崎の魅力」と説明する。

京急川崎駅は、東海道本線・京浜東北線・南武線が発着するJR川崎駅の東に位置する。両駅の間には、地上に川崎駅東口バスターミナル、地下にショッピングセンター「川崎アゼリア」がある。アゼリアはレストランやカフェ、ファッションの店舗が軒を連ね、雨の日も濡れずに移動ができる。商業施設「川崎モアーズ」の地下2階との間には、わずか5段、ギネスに登録された「世界一短いエスカレーター」があることで有名だ。

京急川崎駅を出発した電車
京急川崎駅を出発し横浜方面(画面奥)へ向かう電車。周辺には商業施設が集積している(記者撮影)

旧東海道が走る京急本線の東側には縦横ににぎやかな商店街が広がっているほか、JR・京急の川崎駅周辺はシネコンが入る大型商業施設が集積する。クラシックコンサートを開催する「ミューザ川崎シンフォニーホール」もあり、一大エンターテインメント拠点となっている。

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