中国で大苦戦する日本車、中堅メーカーの行方 撤退準備進める三菱自、反転攻勢を期すマツダ

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世界最大の自動車市場である中国で苦戦しているのは三菱自だけではない。2022年度はトヨタ自動車(前期比2%減)こそ健闘したものの、日産自動車(同24.3%減)、ホンダ(同18.7%減)と日系メーカーは軒並み販売台数を落とした。

理由の1つが、中国でのEV(電気自動車)を含む新エネルギー車(NEV)への急速な転換だ。

2022年の中国の自動車販売は2686.4万台で伸び率は2.1%にとどまった。ただし、このうちNEVは前年比約2倍となる688.7万台、全体の25.6%までに成長した。つまり、NEV以外の販売は約12%も減少した。

日系メーカーが強みを持つハイブリッド車を含むエンジン車の市場が縮小する中、三菱自の〝次〟に注目されるのがマツダだ。

5年前の約4分の1に縮小したマツダ

マツダは2020年11月に発表した「中期経営計画見直し」で、中国販売を年間40万台まで引き上げ、アメリカに並ぶ2大市場とする目標を掲げていた。しかし、中国での販売は2017年度の32.2万台をピークに減少。2022年度は8.4万台と前期からさらに半減した。

しかし、同じ中堅メーカーでも、三菱自と違ってマツダはまだ中国をあきらめていない。毛籠勝弘新社長は中国事業の今期を「反転を始める年」と位置付け、販売台数は48%増の12.5万台と見込んでいる。強気の背景には、一昨年から反転攻勢の準備を進めてきたことがある。

マツダはSUV「CX-50」を5月末から投入。エンジン車らしい特長を武器に反転攻勢を図る。写真は北米仕様車(写真:マツダ)

2021年には中国の現地合弁2社、長安汽車との「長安マツダ」と中国一汽との「一汽マツダ」を事実上統合すると発表。現地ニーズに即応できる体制を作るとともに、販売網の再編も行ってきた。また、今年度からはこれまで北米専用だったSUV「CX-50」を中国で生産し、5月末にガソリンモデル、11月にはハイブリッドモデルも投入する。

青山裕大取締役専務執行役員はCX-50について、「オフロードでの使用など、電気自動車では期待できない、内燃機関ならではの特長がある」と自信を示す。「今期の成長を力強く中国市場で牽引してくれることを期待している」。もっとも、業界からは「CX-50はある程度の台数は出るだろうが、マツダ全体を好転させるには力不足だ」という厳しい意見が聞こえる。

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