ツルハの同族経営を問題視、オアシス「真の狙い」 北海道財界人事も批判、大型の業界再編を提案

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M&Aについては「これまで通り検討する。地域の補完が理想的だ」(鶴羽社長)と語る。現在、北海道、東北、関東甲信越に集中するツルハHDの店舗網を考えると、北陸地盤のクスリのアオキHDや、中部基盤のスギドラッグの店舗網が空白地帯と重なってくる。 

6月26日の決算説明会でツルハHDの鶴羽順社長は、オアシスの株主提案に対する言及を避けた(記者撮影)

買収相手の条件としては「コスト感覚など価値観が合うか、企業価値を高めるシナジーが出せるかなども重視する。大手同士の統合はそれなりにシナジーが出ると思うが、商品構成比などが違うから一概には言えない」(鶴羽社長)と慎重だ。

もしオアシスの株主提案が可決されて経営体制が変更された場合、ツルハHDの同族経営は変革を迫られることになる。イオン子会社で業界最大手のウエルシアHDとの経営統合となれば、創業家の存在感が薄まることは避けられないだろう。

オーバーストア状態で出店を厳格化

ドラッグストア業界は出店競争が過熱し、ツルハHDの主戦場である郊外店を中心に客の奪い合いが激化している。オーバーストア状態で採算性低下が指摘される中、ツルハHDは2025年5月期に向けて「収益力改善」を最優先課題に掲げる。

不採算店舗の撤退や好採算のPB(プライベートブランド)の売上構成比を増やしたことで、前2023年5月期の営業利益は前期比12.3%増の455億円となった。コロナ特需に沸いた2021年5月期の483億円には届かないものの改善傾向にある。今2024年5月期は出店126を計画し、2022年5月期の出店159から厳格化している。

M&Aによる規模拡大で業界2位へとのし上がってきたツルハHDだが、売上高1兆円間近にしてオアシスと対峙することになった。株主提案にどう対応するのか、ツルハHDの一手に注目される。

伊藤 退助 東洋経済 記者

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いとう たいすけ / Taisuke Ito

日用品業界を担当し、ドラッグストアを真剣な面持ちで歩き回っている。大学時代にはドイツのケルン大学に留学、ドイツ関係のアルバイトも。趣味は水泳と音楽鑑賞。

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