日本企業「X世代以上が牛耳る」事の根本的な問題 世界で成功する組織は当たり前にフラット
日本製品が世界を席巻することができた理由の1つは、日本がいわゆる「西側世界」の中で、アメリカに次ぐ人口を持つ大国だったことが挙げられます。だから、豊富な人的資源と技術力を生かし、規模の優位性で安価な製品を大量に作ることができたのです。
しかし、東西の壁が壊れたことで、西側と東側の世界が1つになりました。そして、圧倒的な人口を持つ中国が市場経済に参入。日本の規模の優位性はなくなってしまったのです。
そこにデジタル化の波が追い打ちをかけました。情報コストの低下です。いままでは熟練した職人にしか描けなかった図面がデジタルで共有され解析されることで、誰もがその恩恵にあずかれるようになったのです。こうして中国が、そしてのちにはインドなどが驚くべき速さでキャッチアップしてきたのです。
デジタライゼーション、グローバリゼーションで企業の勝ち負けの順列が変わりました。こうした状況を受け、先進国は工業製品を大量に生み出すのではなく、新たな製品を生み出す、いわばイノベーションに舵を切ることになりました。
そこで必要とされるのはオープンでフラットな文鎮型組織です。実際、新製品開発の現場などでは、ずっと以前からフラット型の組織でした。また、前述したようにコンサルティングの世界でも、ずっと以前から組織はフラットでした。それが先進国のあらゆる企業に求められるようになったのです。
しかし、日本はその波にうまく乗ることができませんでした。そして、ピラミッド型組織のままイノベーションを起こすことを求められ、それが達成できずに悪戦苦闘しているのです。
これからの組織は「ジャズ型」であるべき
「これからの会社にはイノベーションが求められる」
このことはもう、誰もが耳が痛くなるほど聞かされていることだと思います。では、どのような組織にしたらイノベーションが起こせるのか。私が以前在籍していたコンサルティング会社のトップが、このようなことを言っていました。
「これからの時代に求められるのは、指揮者の指示に従う『オーケストラ型組織』ではなく、同じビジョンを共有し互いに周りを見ながら音を出す『ジャズ型の組織』だ」(出所:「『ジャズ型組織』で勝ち抜け」御立尚資、日経ビジネスオンライン、2013/12/18)
ジャズでは互いに周りを見ながら音を出し、そして新しい音楽を作り出すというインプロビゼーション(即興演奏)が重視されます。これは指揮者の命令の下に動くオーケストラ型と対極をなしています。これはまさに「フラット型組織」と「ピラミッド型組織」の違いと言えるでしょう(出所:「Jazz vs. Symphony」John Clarkeson, BCG. com, 1990/1/1)。
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