アリババ会長電撃交代「次期トップ」は何者なのか 創業期の「ジャック・マー」を救った彼の凄さ

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同氏は居並ぶ幹部に向かって、「アリババのこれまでの成功の方程式はもう通用しない。捨て去らなければならない」と指摘し、今後の方向性として「タオバオに戻る、ユーザーに戻る、インターネットに戻る」と3点を挙げたという。

「タオバオに戻る」は中小企業重視、「ユーザーに戻る」はユーザー重視を指し、「インターネットに戻る」は参加者の間でも解釈が分かれているという。

創業期の姿を取り戻したいメッセージ?

2020年秋に中国当局との関係が冷え込み長い沈黙を続けて来たマー氏は、今月12日に東京大学で講演を行うなど、公的な活動を再開しつつある。

東京大学で講演を行うジャック・マー(写真:東京大学東京カレッジ公式HPより)

とは言えこの数年の当局との確執を考えると、表立ってアリババの経営に介入することは難しいだろう。

アリババという企業が設立される前から命運をともにしてきた盟友のツァイ氏と側近中の側近であるウー氏をグループのトップに据えたのは、創業時の姿を取り戻したいというマー氏の強いメッセージであり、関与の意志なのかもしれない。

浦上 早苗 経済ジャーナリスト

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うらがみ さなえ / Sanae Uragami

早稲田大学政治経済学部卒。西日本新聞社を経て、中国・大連に国費博士留学および少数民族向けの大学で講師。2016年夏以降東京で、執筆、翻訳、教育など。中国メディアとの関わりが多いので、複数媒体で経済ニュースを翻訳、執筆。法政大学MBA兼任講師(コミュニケーション・マネジメント)。新書に『新型コロナVS中国14億人』(小学館新書)。
Twitter: @sanadi37

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