「YOASOBIを超えるユニット」を構想する思考法 ヒットを生み出すための「仮説力」を養うには

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

さらに、ここから今後の「楽曲のヒットの法則」を考えてみよう。このYOASOBIのメカニズムは、これからもヒットを出し続ける可能性が高い。優良なクリエーターとつながっていると、原作となる小説、アニメーションは、世界中から募集できるため、「最高のもの」を選択できる可能性があるからだ。いずれカナダの小説を原作とし、イギリスのクリエーターと共同で作詞作曲し、中国のクリエーターがアニメーションを作成、YOASOBIが英語で歌うというパターンが出てきてもおかしくない。

一度大きなヒットが出ると、世界中のクリエーターからオファーが来るだろう。自分の能力だけではなく、世界中の能力を使うことができれば、ヒットを連発できる可能性は高くなる。

ちなみに、すでにK‐POPでは、作詞・作曲・アレンジは世界中のクリエーターから募集してスクリーニングを行っている。そのためBTSのような世界レベルのアーティストになると、世界中から音楽の提供があり、そこから「最高のもの」を選ぶことができる。勝ち組に最も優れた楽曲が提供される仕掛けができている。

YOASOBIのメカニズムを解明すれば、今後も同じようなアーティストが出てくることが予見できる。またヒットするには、世界中からアニメーション、原作となる小説、作詞作曲を集められるプロデューサーの役割が大きく影響することも想定できる。

このメカニズムから考えると、BTSも、YOASOBIもヒットを続けるはずだ。そして同じようなタイプのアーティストがこれからも出てくるはずである。ただし、同じようなアーティストを作り出そうとする際には、プロデューサーが鍵を握る。つまり、世界中のクリエーターや、彼らが生み出す作品を「統合」できる優秀なプロデューサーが存在するかが決め手になるという仮説まで考えられる。

「知っている」ことの強み

さて、最初に投げかけた問いに戻ろう。

「YOASOBIを超える音楽ユニットのコンセプトを来週中に考えてほしい」

ここまで解説した内容が頭に入っていれば、何らかの仮説が湧いてくるような気がしないだろうか。私がこのような発想ができるのは、

-そもそもYOASOBIという音楽ユニットを知っている

-彼らの楽曲の制作方法を知っている

-彼らのMV(ミュージックビデオ)の制作方法を知っている

-K‐POPの楽曲制作の方法を知っている……

からである。

ありていに言えば、「単に知っているから」仮説が湧くのだ。知っていることは、すぐに思いつける。この重要性に気づくことが、瞬考ができるようになるための第一歩である。さまざまなデータや事象をインプットして、そこから何らかのメカニズムを解明すると、仮説が湧き上がってくる。

瞬考 メカニズムを捉え、仮説を一瞬ではじき出す
『瞬考 メカニズムを捉え、仮説を一瞬ではじき出す』(かんき出版)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします
山川 隆義 ビジネスプロデューサー

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

やまかわ たかよし / Takayoshi Yamakawa

京都大学工学部および同大学精密工学修士。現・日本ヒューレット・パッカード合同会社、ボストン コンサルティング グループ(BCG)を経て、2000年に株式会社ドリームインキュベータ(DI)創業に参画。2006年から2020年まで代表取締役社長。現在はビジネスプロデューサーとして、エンターテインメント、証券、産業財、ヘルスケア、IT分野の企業における社外役員及びアドバイザーとして活動するとともに権利マネジメントビジネスを実践。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事