「YOASOBIを超えるユニット」を構想する思考法 ヒットを生み出すための「仮説力」を養うには

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「YOASOBIを超える音楽ユニットのコンセプトを来週中に考えてほしい」

あなたが新米の音楽プロデューサーだった場合、このお題に対する仮説を瞬時に出せるだろうか?

2020年、YOASOBIの「夜に駆ける」は、その年のBillboard Japan Hot100の年間首位を獲得した。トップアーティストとしての地位を築いたYOASOBIだったが、シングルCDを出さずに首位を獲得したのは初めてのことだった。その後も、ヒットを連発している。

一般的に、アーティストは自分の恋愛経験や日々の体験をもとに作品を作ることが多い。が、YOASOBIは異なる。「小説を原作」にして楽曲を作っているのだ。

ネタ切れを防ぐには?

どれだけ才能があるアーティストでも、自分の体験だけがアウトプットの源泉だと、やがてネタは枯渇する。40歳や50歳になるまで曲を作っていたら、ネタ切れを起こすことは当然ありうる。

しかし、YOASOBIは、小説を原作としているため、無限に作品を生み出すことができる。自分の体験は有限でも(例えば、恋愛を自分で体験できたり、友人の経験談を聞いたりしたとしても多くて数十くらいだろう)、小説となるとネット隆盛の今、オンライン上に無限に楽曲の「原石」が転がっている。

だから、YOASOBIには「ネタ切れ」という概念がないのだ。永遠に楽曲を生み出し続けることができる。しかも、楽曲のネタとなる小説は若者が作っているため、若者だけが持つ感性を取り入れた楽曲制作が可能だ。

また、彼らは、アニメーションをつけて配信している。第1弾の「夜に駆ける」のアニメーションは、当時、東京藝術大学に在学中だったクリエーター・藍にいなが制作したものである。

原作は小説、アニメーションはアニメーター、作詞作曲はAyase、歌い手はikura、というように、すべてのパートが分業されており、この仕組みが大ヒットの斬新な「メカニズム」の一つだと考えられる。

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