そんな3つのグレードを持つEX30は、6月初旬に発表会が開かれると同時に、ヨーロッパでは販売開始。デリバリーも2023年内に行われるそうだ。
生産は、中国・北京近くの工場で行われ、NMC、LFPの2つのバッテリーも中国国内で作られるという。そこから、北米にも輸出されると聞いた。
同時に公開されたのが、「EX30クロスカントリー」。車高を少し持ち上げ、専用グリルにホイールハウスまわりのクラディングを装着するなど、オフロードテイストを加味したモデルだ。
「私が提案したコンセプトです」。嬉しそうに語るローワンCEOに、「北米でも人気が出そうなモデルですね」と筆者が言うと、わが意を得たりとばかり笑顔を返された。
北米での成功も期待するといっても、ディメンションは全長4233mm×全幅1837mm×全高1549mmと、ボルボの説明どおりなかなかコンパクト。
ローワンCEOは「東京にもぴったりのサイズでしょう」とも言っていたが、そのほうが説得力があると感じられた。
ちなみに、発表会の場所としてミラノを選んだ理由をボルボ・カーズの広報担当者に聞いてみると、「グローバルシティであり、クルマの需要が多く、かつコンパクトなサイズがいろいろな面でのソリューションになりうる場所だから」とのことだった。
シティカーとしてのBEVの需要は、これから拡大していくことが予想されるとボルボは言う。日本でも、軽自動車BEVの日産「サクラ」/三菱「eKクロス EV」がよく売れており、実際にそのとおりかもしれない。ならば、EX30(とEX30クロスカントリー)の北米での成功も、おおいにありうる。
「グリルレス」がこれからのボルボ
EX30について、話を戻そう。環境面とサイズだけが、EX30の特徴ではない。
外観は、グリルレスのボルボBEV共通のテーマを採用。「トールハンマー」とボルボが呼ぶT字型ヘッドランプの構成要素が、まるでカバーを持たないようにボディパネルにはめこまれているのが斬新だ。
「人間的な表情を作ろうとしました」と、エクステリアデザインを統括するボルボ・カーズのTジョン(ティージョン)・メイヤー氏の言葉にあるように、この顔に冷たさは感じられない。
ボディのリアセクションの厚みが強調されているのも、スタイリング上の特徴だ。SUVって、そういえばここが分厚く見えるものだ。昔は大きなディファレンシャルギアを収めるなど“機能的な理由”があったけれど、EX30は燃料タンクも持たないし、室内や荷室の広さを表現した形と見てとれる。
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