会社を"快適に"休むにはコツがある! 「休ませてあげたい」と思ってもらうには
趣味を積極的にオープンにして周囲を巻き込む──実はこの手法、会社を上手に休む“コツ”のひとつなのだ。リクルートの元事業部長で、現在はコンサルティング会社「ACT3」代表取締役の堂薗稚子(どうぞのわかこ)さん(45)は、上司の気持ちをこう代弁する。
「今の時代、上司はすごく部下を気にかけていて、休ませなければと思っています。でも、すべての部下の状況を細かく把握できるわけではないし、そもそも私生活に踏み込む会話はしにくいものです。そんなときに、部下のほうから積極的にプライベートを開示してくれて、休みの必要性を訴えてくれれば、上司もその意をくみ取りやすい。普段から上司が『休ませてあげたくなる』コミュニケーションを心がけることが大切です」
有給休暇の取得で16兆円の経済効果
とはいえ、そんな抜群のコミュ力を発揮して休める人は、ごく一部。こっちは公休を消化するのが精いっぱいで、1週間の有給休暇を取るなんて、仕事するより難しいよ──とボヤいている人は多いだろう。
事実、2013年の厚生労働省の調査では、労働者ひとりあたりの有給休暇の取得率は47.1%。企業が付与した有給休暇の平均日数18.3日のうち、8.6日しか消化できていないのだ。九州大学法学部の野田進教授(労働法)は、こう指摘する。
「有給休暇の取得率は2000年以降、ずっと50%を下回っており、世界最低水準です。日本では有給休暇が最大20日、国民の祝日が15日、お盆や年末年始の特別休暇も5日ほどあります。制度面では欧州並みの日数ですが、制度があっても休めていないのが実情です。国民の祝日にしても『休むべき日』とは定められていません」
野田教授によれば、フランスやドイツでは、従業員が1年に1カ月は休暇を取れるように人員計画を組んでいるので、たとえば12人必要な仕事は13人で回すという。だから、休みは「想定内」で「計画的」。一方、日本はいつもギリギリの人員計画なので、休みは「突発的」で「例外的」とみなされる。つまり、休みに対する姿勢が根本的に違うのだ。
では、みんなが休みを消化すると経済活動が滞り、景気が悪くなるのかというと、どうもそうではないようだ。
日本生産性本部の2009年の調査によると、日本の労働者が未取得だった有給休暇の合計は年間約4億3千万日。これをすべて取得すれば、その経済波及効果は約16兆円。経済活性化と休んだ人の代替で、新たに約188万人の雇用が創出されると推測している。そう、休むことは、個人にも日本経済にとってもハッピーなことなのだ。
しかし、日本の職場は、休むことを突発的で例外的な「アクシデント」ととらえがちだ。どうすれば、そうした意識を変えることができるのか。前出の堂薗さんは、こうアドバイスする。