裁判で「ChatGPT」使った弁護士の恥ずかしい結末 「スーパー検索エンジン」だと思って使ったら

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シュワルツが判事の質問に答えるたびに、弁護士、法学部の学生、調査官、学者など70人近くが詰めかけた法廷の空間全体に反応がさざ波のように広がった。驚き、失笑、ため息。傍聴者たちは顔をしかめ、周囲を見回し、ペンをかんだ。

「ChatGPTにだまされ続けた。恥ずかしいことです」とシュワルツは言った。

すると、傍聴者の1人から、穏やかに下降する口笛が上がった。

引用した判例は全部でっち上げ

本来なら目立たない訴訟で生じた今回のエピソードは、人工知能(AI)がもたらす危険性(人類が存亡の危機に立たされているという声すらある)についての議論が高まっているテクノロジー業界を釘付けにし、法曹界も目が離せなくなっている。

司法評論家のデービッド・ラットは、「影響は法曹界全体に広がっている。自動車事故を見るような気持ちだ」と話した。

訴訟は、ロベルト・マタという男性が2019年8月にエルサルバドルからニューヨークへのフライト中に金属製の配膳カートが膝に当たって負傷したとしてアビアンカ航空を訴えたものだった。

アビアンカ航空は、時効が成立したことを理由に、判事のカステルに訴えを棄却するよう求めた。マタの弁護団はこれを受けて、6件以上の判決を引用した10ページの準備書面で対抗。マルティネス対デルタ航空、ジッカーマン対大韓航空、バルギーズ対中国南方航空などの事件名を挙げ、訴訟の進行を認めるべきだと主張した。

アビアンカ航空の弁護士がこれらの事件を特定できなかったことから、カステルはマタの弁護団に資料の提出を命じた。弁護団は判決の概要を提出した。

その結果、事件は現実のものではなかったことが判明した。

ニューヨークで30年にわたり弁護士として活動してきたシュワルツは、判事に提出した陳述書の中で、ChatGPTについては大学生の年齢の子どもたちの話や報道などで知っていたが、仕事に使ったことはそれまで一度もなかったと述べた。

シュワルツは8日の尋問でカステルに対し、ChatGPTは通常よりも広いデータベースにアクセスできるものだと考えていたと話した。「この新しいサイトについての話を聞いて、スーパー検索エンジンのようなものだと勘違いしてしまった」とシュワルツは言った。

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