ソニー平井社長にOBたちの包囲網

6月の株主総会で波乱も

伊庭氏は、1月19日付でソニー経営陣に発送した提言書で、ソニーは株価が回復基調にあったとしても、エレクトロニクスの技術系人材を生かした経営をしておらず、経営全体をけん引するヒット商品が依然として不在だ、と指摘している。

この提言書が特に問題視しているのは、社外役員が多数を占めるソニー取締役会の現状だ。取締役会のメンバーのうち、実質的な社内取締役は平井社長と吉田憲一郎副社長の2人のみ。提言書は、2人がいずれも「技術系ではない」という点を指摘、取締役会は、単なる監督機関にとどまらず、自ら技術のトレンドを読んで経営の方向性を決める機関になるべきで、ソニーの取締役会に「生え抜きの技術系人材」を複数登用するよう訴えている。

大物OBによる「憂国の苦言」が実現させた今回の現役経営陣とOBの会合。伊庭氏はこの前日の4月15日付で新たな提言を経営陣に発送した。その中で、伊庭氏は、技術系人材の一段の登用などを求めた前回の提言に加え、「ソニー丸の船長は間違った海図を使っている。このままではソニー丸は沈没の危機に瀕する」と、これまでにない直接的な表現で、平井社長の経営者としての資質を問いただしている。

株主総会に向け結束

ソニーは4月1日付で技術系の鈴木智行氏を副社長に昇格させた。同社は伊庭氏の提言が直接影響した人事であることを否定しているが、28日の取締役会では、6月の株主総会に提案する新しい取締役体制を内定する見込みだ。

ソニーが2月18日に示した2015―17年度中期経営計画は、3年後の営業利益を5000億円以上とする目標数値が市場で評価され、株価は上昇基調にある。15年3月期の巨額赤字を経て、今期の業績も大幅回復の兆しをみせている。しかし、ソニーの株主でもある歴代の役員OBらは「今の経営にはビジョンがない」との認識で株主総会に向けて徐々に結束しており、平井社長への「包囲網」を固めつつある。

(村井令二 編集:北松克朗)

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