作家・村上龍が語る「自由、希望、セックスを厭うな」 最新刊『ユーチューバー』に込められた秘密
デビュー作『限りなく透明に近いブルー』を皮切りに、多くの話題作を世に送り出してきた村上龍氏。彼の最新刊『ユーチューバー』(幻冬舎)は、自身を彷彿とさせる70歳の著名作家・矢﨑健介を主人公にした異色の連作小説だ。
表題作では「世界一もてない男」を自称するユーチューバーに声をかけられ、半世紀にわたる女性遍歴を赤裸々にユーチューブで告白する。初体験の相手、家具デザイナーの女性、ユミコ、ヨウコ、キョウコ、ユリコ、マコ、ジュンコ、ヨシコ、リコ、リエ、アケミ、トモミ、ミキ、エイコ、一人ひとりに物語があった。自由、女性、そして小説について、村上龍氏が今語ることとはーー。
圧倒的なアーカイブがユーチューブの魅力
――「ヤザキケンスケ」という作家は村上先生の分身としてしばしば登場しますが、たとえば『69 sixty nine』では「矢崎剣介」、本書では「矢﨑健介」と微妙に漢字が変わっています。これはそれぞれの主人公が別人である、という意味でしょうか?
村上龍氏(以下「村上」):いや、特に別人であるという意味はありません。“わたしの分身である主人公”の場合、極端な話、名前はどうでもいいんですね。「ヤザキケンスケ」という名前があるので、その都度、適当な漢字を当てています。
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