日ハム新球場付近に建設「新駅計画」見直しの背景 建設費が4割増しの125億円に、自治体は当惑

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JR北海道の計画では上下線共用の島式ホームが採用されており、札幌方面と北広島・新千歳空港方面の乗降客がホーム上に混在することになる。さらに改札口のある駅舎からホームには1本の跨線橋しかないことから、試合開催時には帰宅客が集中し大混雑が懸念される。

JR北海道が新駅を計画する場所は広大な更地となっている(筆者撮影)

これに対して、阿部氏の提案は、上下線別の対向式ホームを採用し、札幌方面の乗降客と北広島・新千歳空港方面の乗降客を分離するというものだ。多くの帰宅客の利用が見込まれる札幌方面のホーム幅を広く取り、球場側から直接出入りできる構造にすれば、混雑緩和も期待できる。島松駅で列車の折り返しを行うためホームのみの設置ですみ、駅の長さをJR北海道計画の500mから130mにコンパクト化。さらに、新駅の設置場所を、すでに線路をくぐる歩行者用道路がある北広島方の直線区間に数百メートル移動すれば跨線橋の建設も不要になり、工費と工期の大幅な圧縮が実現できる。

また、大混雑の球場輸送列車の乗降を本線上で行うと、後続列車の遅延を招くのではないかという懸念についても阿部氏は「例えば、あらかじめ各扉の乗車人数を50人ずつと決め、ホーム上に人数の目安を示す印を付け整列乗車を徹底すれば、千歳線で運行される3扉6両編成の電車に短時間で900人が乗車できる。こうした工夫を徹底すれば、本線上での乗降を迅速にし、遅延を防止する方法はいくらでもある」と力説する。

さらに、この場所であれば、北広島高校へのアクセスも容易になり通学の利便性向上も実現できることから、新駅はプロ野球観戦者のみならず北広島市民にとっても大きな利益をもたらすことになるという。

筆者は、JR北海道に「最大で125億円となる新駅の設備は過大ではないか」と質問をぶつけてみたところ、あくまでも「一度に多くのお客様が1カ所に集中する状況を想定し、お客様が安全かつ迅速に列車に乗降いただくために必要な設備」との説明だった。

北広島市は1つの提案しか受けていない

北広島市経済部ボールパーク連携推進室の担当者は、アクセス問題については問題意識を持っていないわけではないが、「JR北海道からは新駅について1つの提案しか受けておらず、金額面で合意には至っていない」と話す。一般論として、全国の自治体には鉄道に精通した職員がいないため、JR側が提示してきた工費や工期について精査することができず、JR側のさじ加減で事業費はどのようにでもできるのが実態のようだ。

エスコンフィールド北海道の開業により活気づいた北広島市をより魅力的な地にするためにも一日も早いアクセス改善を望みたい。

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櫛田 泉 経済ジャーナリスト

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くしだ・せん / Sen Kushida

くしだ・せん●1981年北海道生まれ。札幌光星高等学校、小樽商科大学商学部卒、同大学院商学研究科経営管理修士(MBA)コース修了。大手IT会社の新規事業開発部を経て、北海道岩内町のブランド茶漬け「伝統の漁師めし・岩内鰊和次郎」をプロデュース。現在、合同会社いわない前浜市場CEOを務める。BSフジサンデ―ドキュメンタリー「今こそ鉄路を活かせ!地方創生への再出発」番組監修。

 

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