名鉄揖斐・谷汲線、残っていればLRTに進化したか 岐阜市の郊外路線「廃止後」継いだバスの現状

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黒野―本揖斐間、黒野―谷汲間が先行して廃止された時、代替バスは名阪近鉄バスが受け持った。しかし利用者減に陥り、2006年には揖斐川町コミュニティバスに移管。さらに2019年には委託先の変更によって、「揖斐川町ふれあいバス」とデマンドバスの「揖斐川町はなももバス」に再編されている。

本揖斐に到着した揖斐川町ふれあいバス
本揖斐に到着した揖斐川町ふれあいバス(筆者撮影)
養老鉄道揖斐駅
揖斐川町の交通拠点である養老鉄道揖斐駅(筆者撮影)

鉄道の代替となる大野バスセンター―本揖斐―揖斐駅間の揖斐大野線は、町境を越えて大野町まで乗り入れ。朝夕を中心に運行されている揖斐川町ふれあいバスの中では、比較的運転本数が多く、幹線と位置づけられている。なお、各系統の運行拠点は本揖斐ではなく、大垣との間を結ぶ養老鉄道の揖斐駅だ。

こちらは大野バスセンター11時55分発の揖斐駅行き、本揖斐12時25分発の大野バスセンター行きで往復してみる。運賃は片道300円。本揖斐バス停は本揖斐駅跡の側に設けられており、揖斐駅とは揖斐川を挟んで3km近く離れている。

電車と駅舎が保存されている

名鉄谷汲線は、古くから尊崇を集める西国三十三所の第33番札所である谷汲山華厳寺への参詣鉄道としての一面を持っていた。黒野―北野畑間は大野町、赤石―谷汲間は旧谷汲村(現在は揖斐川町に合併)に属していた。このうち大野町内は現在、代替となる路線バスはなく、デマンドタクシー「あいのりくん」が運行されている。指定停留所からなら、予約すれば町民でなくても利用できるが、谷汲山など大野町外へ出ることはできない。

谷汲口駅に到着した揖斐川町ふれあいバス(筆者撮影)
谷汲山付近を走る谷汲口駅行き
谷汲山付近を走る谷汲口駅行き(筆者撮影)

谷汲山へのバスは、揖斐川町ふれあいバスの横蔵線が揖斐駅発本揖斐経由で走っているが、名鉄とは完全に別ルートだ。平日は学校の休日には運休になる便も含めて、1日3往復あるが通学向けダイヤで、朝夕のみ運行。休日は揖斐駅発横蔵行き2本、横蔵発谷汲山経由揖斐駅行き4本が設定されており、参拝客の利用も考慮されている。

私は日を改めて揖斐駅10時発の横蔵行きに乗ってみた。利用客は2人だけで、谷汲山には10時27分に着く。電車も駅舎も保存されている旧谷汲駅を眺めて、谷汲山10時42分発の樽見鉄道谷汲口駅行きに乗り換える。

谷汲口駅―谷汲山間には樽見鉄道の列車と接続するシャトル便のような、土休日のみ運転の揖斐川町ふれあいバス谷汲口線がある。所要時間は8分。こちらにはさすがに4人の利用があった。横蔵線、谷汲口線、いずれも運賃は300円だ。

名鉄谷汲線は根尾川を挟んで樽見鉄道(旧国鉄樽見線)と並走していた区間もあり、お互いの列車も見えた。廃止後の同線の機能の一部は、樽見鉄道が代替しているのだ。

樽見鉄道
名鉄谷汲線の実質的な代替交通機関は樽見鉄道だ(筆者撮影)
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土屋 武之 鉄道ジャーナリスト

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つちや たけゆき / Takeyuki Tsuchiya

1965年生まれ。『鉄道ジャーナル』のルポを毎号担当。震災被害を受けた鉄道の取材も精力的に行う。著書に『鉄道の未来予想図』『きっぷのルール ハンドブック』など。

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