「方針がない…」残念な上司が言うトホホな言い訳 トヨタの強さの源泉はマネジャーの「言語化力」だった

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一方、転職したグロービスでは、次のような取り組みが行われていました。

入社してまもなく、上司から「今度みんなで集まってホテルに籠るから」と言われ、訳もわからずとりあえず参加するという機会がありました。

当日は会社の理念や歴史、方針を再確認する時間があり(私にとっては確認ではなく初めての機会でしたが)、それをベースに、自分はこの1年どう働いていきたいかについてグループで話し合ったりしました。

ちなみに、グロービスのビジョンは「経営に関するヒト・カネ・チエの生態系を創り、社会の創造と変革を行う」と言語化されています。

私は「GLOBIS知見録」というオウンドメディア(自社媒体による情報発信)業務を担当していましたので、このビジョンでいうと「チエ」の領域に該当します。

グループで話をしながら、「ああ、これから自分はビジネスに関する有益な知見(=チエ)を社会に届け、ビジネス環境の底上げに貢献する仕事をしていくんだな」という感覚が高まっていき、帰京後はシンプルな判断基準のおかげで能動的に働けるようになっていきました。

仕事をしていて選択に迷う時も、「ビジョンの達成につながるかどうか?」というシンプルな問いに立ち返ることで、ズレたりブレたりすることなく動けるようになっていったのです。

以上、こうした取り組みについてグロービスでは「リトリート」と呼ばれています。もちろん社員同士の懇親や組織としての一体感醸成といった目的もあるのですが、本書の文脈では「これは要するにトヨタの方針管理と同じことを、カタチを変えてやっているんだな」と体感する機会になりました。

残念な上司が口にするトホホな言い訳

ここまで、トヨタ、グロービスのそれぞれで体感したエピソードを通じて、まずは私自身がどうやって当事者意識を発揮し、主体的・能動的に働けるようになったのかを共有させてもらいました。

2つの体験談は、表面的には異なる内容に見えたかもしれません。

ですが、根底に流れているアプローチは両社とも同じで、冒頭で紹介した「目的のジブンゴト化」です。

ここから先は、特に皆さんの会社と照らし合わせながら読んでほしいので、ステージ別に箇条書きしてみます。

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