「方針がない…」残念な上司が言うトホホな言い訳 トヨタの強さの源泉はマネジャーの「言語化力」だった

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あなたの会社には、このように明文化されたものがあるでしょうか。

他にも、「基本理念」「トヨタウェイ」「トヨタグローバルビジョン」「トヨタ・ビジネス・プラクティス」、等々。さまざまなレイヤー・位置づけ・目的で、マネジャー・プレーヤー問わず全社員が働くうえで重視すべきことが言語化されています。

トヨタには「視える化(みえるか)」という有名な企業文化があり、こうした明文化もその具体例です。詳しい話は他の拙著に譲りますが、トヨタの強さの源泉の1つが「言語化」力であるという点だけは、本書でも強調しておきたいと思います。

世界中のトヨタで実践されている「方針管理」

加えて、ミッションやビジョンを達成するために、あるいは理念や規範を体現するために、トヨタでは1年ごとに「年度方針」が策定されています。ただ、時間軸としては「年度」方針ですが、空間軸に重きを置けば、これは「全社」方針と言い換えることも可能です。

なぜこう言い換えたのかというと、「全社」としての方針ができあがり次第、今度はそれが「部門」方針、「部」方針、「室」方針、「グループ」方針というように細分化、ブレイクダウンされていくからです。

各トヨタパーソンは上部方針を一通り確認しつつ、最終的には自分の業務の方針を「紙1枚」に書き出してまとめていきます。

これが最も具体的で、自身の仕事に直結する「目的=何のために働くか?」の方針です。全ての仕事は、自らの言葉で言語化したこの方針を達成するために行い、方針に沿って働くことが、最終的には全社方針や企業理念、フィロソフィーといったものともつながっていく。

逆もまた真なりで、そうした上位方針や明文化された組織文化との「つながりを実感して働ける」からこそ、ブレずに、主体的に、当事者意識を発揮して日々業務を遂行していけるようになるのです。

以上、トヨタのマネジメント手法の1つである「方針管理」の一端をご紹介しました。

英語では「Hoshin-Kanri」とそのまま表記され、世界中のトヨタで実践されています。あなたの会社には、似たような仕組みがあるでしょうか。

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