新幹線「特大荷物」持ち込みを予約制にした狙い 収納「コーナー」と専用の指定席を合わせて販売

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このたび導入された「特大荷物コーナーつき座席」には、前史がある。

JR東海など3社は2020年5月に、「特大荷物スペースつき座席」のサービスを開始した。この計画は、コロナ禍前の2019年8月には発表されていた。当時は訪日外国人利用者の増加もあり、新幹線に大きな荷物を持って乗車する人が増えていた。2020年に開催予定だった東京オリンピック・パラリンピックを控え、車内に大きな荷物を持ち込む乗客がさらに増加することが見込まれていた。

これに備え、東海道・山陽・九州新幹線では、車内に一定以上の大きさの荷物を持ち込む際には、新たに設置する荷物スペースと指定席とをセットで予約したうえで乗車する事前予約制を導入した。座席の近くに荷物置場を確保し、ここに大型の荷物を収納することでスムーズに乗降することが可能になるという趣旨だった。

N700S 特大荷物スペース
「特大荷物スペース」は客室内最後部の座席後方だ(撮影:尾形文繁)

そのとき整備された「スペース」は前述のとおり、客室内最後部座席後方にある既存の空間を荷物用にしたものだ。

「荷物を持って右往左往」を防ぐ

この「荷物スペース」のサービスが始まった2020年5月の段階で、すでに今回導入した「特大荷物コーナーつき座席」の設置も予定されていた。この「荷物コーナー」は、車内デッキ部にある一部の洗面所などを整備して新設したもので、盗難防止のために二重ロック方式を採用し、2023年度に整備が完了した段階で導入すると予告していた。

設置の狙いをJR東海に聞くと、不慣れな利用者へのサービス向上などが理由だという。

「特大荷物」にあたるサイズの荷物は荷棚や座席足元には収納できず、このような荷物を持った利用者は置き場を探して車内を往来している現状がある。事前に置く場所を予約できるようにすることで、安心して乗車できるようにするのが目的だという。また、荷物が重いため荷棚に荷物を上げることが難しいといった事情がある乗客も、安心して利用できるようになるとも説明する。

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