後継者不在で借金だけ残る「中小経営者」の苦境 国は延命を支援しても廃業には手を差し伸べず

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

M&Aを希望する経営者が自身の限られたネットワークで適切な売却先を探すのは、容易ではありません。取引銀行や仕入先に相談するのも一法ですが、「もう先がない危ない会社」とみなされるリスクがあり、躊躇します。やはり、プロであるM&A仲介会社の助けを借りるのが合理的です。

ならば、信頼できるM&A仲介会社を選んで、慎重にお付き合いする必要があります。ここで、「秘密保持」とともに経営者が注意したいのが、M&A仲介会社による「押し買い」です。

「押し買い」を生む歪んだ構造

M&Aにおける「押し買い」とはどういうことで、何が問題でしょうか。この問題を理解するために、M&A仲介会社のビジネスモデルと営業担当者の報酬システムを簡単に紹介します。

M&A仲介会社は、M&Aを仲介して売り手・買い手(または両方)から仲介手数料を受け取ります。手数料は、仲介が成立するしないに関係なく発生する着手金・相談料などと成立した場合にだけ発生する成功報酬に分かれます。

そして、多くのM&A仲介会社が「完全成功報酬。着手金は一切なし」と高らかにうたっているとおり、着手金などは無料またはごく少額で、成功報酬が大部分を占めます。成功報酬は、成約した売買金額に比例する体系です。大きなM&Aを成立させたら、M&A仲介会社には巨額の手数料が入ります。

営業担当者の給与も成功報酬の部分が大きく、年収が数千万円に達するのはざら。1億円プレイヤーもいます。一方、売買が成立しなかったら、M&A仲介会社には手数料が入らず、営業担当者はただ働きです。そのため、営業担当者は何が何でも売買を成立させようとします。

例えば、X社が会社売却を希望し、Y社がX社の買収を検討しています。X社の経営者は「最低8千万円以上でないと会社を売りたくない」、Y社の経営者は「うちは最大で6千万円しかお金を出せない」と言っています。このままでは売買が成立しません。

次ページ別の専門家にセカンドオピニオンを
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事