大混雑なのに運行本数減らした「江ノ電」戦略の妙 観光客増えすぎて住民が乗車できない例も

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今回、コロナ禍後・初となる4回目の社会実験を行った。江ノ電の14分間隔のダイヤでは、初めての実施ということになるが、今回の社会実験に関して、混雑状況などは例年と比べてどのような状況だったのか。鎌倉市まちづくり計画部・都市計画課・交通政策の担当者に話を聞くと、そもそも「前年度の2022年と比較し、4月29日~5月7日までの乗降人員数は少なかった」という。

社会実験の実施日はこれまでのGWにおける混雑状況を踏まえ、5月4~6日の3日間に決定したが、「想定していた以上に人出は集中せず、人出が分散化されたのか、新型コロナウイルスの5類への移行前であったことも影響してか、4日のみ一時的に駅構内へ入場できず、改札外へ乗車待ちの列が生じた結果となった」。そのため、優先入場した沿線住民の数は46人だったという。思ったほどの人数ではなかった。

優先入場に対する沿線住民の反応も「GWはいつも混雑しているので、取り組みはいいと思う」といった好意的な評価が得られたという。

臨機応変な対応を

利用者の減少に悩む全国のローカル線と異なり、混雑が問題になっている江ノ電は他社から見ればうらやましい限りだ。

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しかし、その状況に安住せず、利便性の向上に努めてもらいたい。今後の利用状況によって、ラッシュの時間帯においては、運行間隔を12分に戻すというような臨機応変な対応があってもよいのではと思う。

また、道路を併用する江ノ島―腰越間のような区間では、駐車している自動車がある場合や、歩行者や自転車の直前横断で急停車することも少なくはない。設備投資を行えば、改善する方法も多くあるだろうが、江ノ電単独では資金の捻出は難しく思われるので、行政との連携によってぜひ安全性や利便性の向上に努めてもらいたい。

渡部 史絵 鉄道ジャーナリスト

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わたなべ・しえ / Shie Watanabe

2006年から活動。月刊誌「鉄道ファン」や「東洋経済オンライン」の連載をはじめ、書籍や新聞・テレビやラジオ等で鉄道の有用性や魅力を発信中。著書は多数あり『鉄道写真 ここで撮ってもいいですか』(オーム社)『鉄道なんでも日本初!』(天夢人)『超! 探求読本 誰も書かなかった東武鉄道』(河出書房新社)『地下鉄の駅はものすごい』(平凡社)『電車の進歩細見』(交通新聞社)『譲渡された鉄道車両』(東京堂出版)ほか。国土交通省・行政や大学、鉄道事業者にて講演活動等も多く行う。

 

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