注目集める「住宅のメンテフリー」の意外な盲点 本当の意味での「サステナブル」とは何か?

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本当の意味での「サステナブル」とは(写真:manbo-photo/PIXTA)

近年、サステナブル(Sustainable)という言葉を耳にする機会が増えた。「持続可能な」「維持できる」を意味する形容詞で、地球環境や社会問題に関する国際的な取り組みにも注目が集まっている。2015年「国連持続可能な開発サミット」で採択された17の目標「SDGs」とともに、グローバルな課題の解決をめざすべき取り組みとしてご存じの方も多いはずだ。

さまざまな業界で「サステナブル」な概念が注目される中、住宅建築においても例外ではない。例えば「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」として補助金の対象にもなるZEH住宅、建設時から廃棄までトータルに省CO2を図るLCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)住宅なども広い意味では「サステナブル」な取り組みの一つといえるだろう。

さらに身近な例を挙げれば、戸建て住宅やマンション建築に欠かせない建材にも「サステナブル」「SDGs」に配慮した製品も増えてきた。外壁材や断熱材をはじめ、仕上げ塗料などさまざまな建材において「メンテンナンスフリー」「高耐久」をうたった製品も続々登場してきている。

「メンテナンスフリー=維持修繕」が不要ではない

「持続可能な」という考え方のもと、環境に配慮し長く住める住宅づくりをめざすことそのものは素晴らしい取り組みだ。また、機能性や耐久性に優れた建材や設備の活用は、長い目で見ればコスト削減にもつながるメリットがある。

しかしながら注意したいのは、いかに「高耐久」な建材で作られた住宅であっても、メンテナンス不要になることはありえないという点を心得ておきたい。

そもそも新築の場合、完成(引き渡し)から10年間は売り主や施工会社、ハウスメーカーが瑕疵担保責任を負うことが法律で義務付けられている。基礎部分や雨漏りなど最低限の補償については約束されていると言えるだろう。しかしながら、あくまで「最低限」の部分にとどまる。

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