日本を増税でも賄えない「借金大国」にした真犯人 1965年までは「無借金国」だったのに…
よく、消費税導入以降の消費税収と、法人税の減収額が比較されたグラフをもって「法人税減税の穴埋めに消費税が使われた」と言われることがあります。下のようなグラフを見たことがないでしょうか。法人税収が史上最高の19兆円を記録した1989年度を起点にした法人税収の減収額と、消費税収を比較したものです。
たしかに、消費税収が法人税減収額を穴埋めしているように見えるグラフです。でも、これと同じようなグラフを、実は所得税でもつくることができるのです。所得税収が史上最高を記録したのは、1991年度の26.7兆円。ここを起点にした所得税の減収額と消費税収を並べて見てみると、このようになります。
いかがでしょうか。所得税のほうが、むしろ法人税より減収幅が大きいことが分かります。そして忘れてはいけないのは、法人税と所得税が減収しているのは、減税だけではなく景気後退も原因にある、ということです。つまり、減収の原因のすべてを減税に負わせるのは大変なミスリードだということが分かると思います。
「今さえよければいい」という発想のツケ
バブル崩壊以降、借金を減らして財政を再建させようと政府が取り組んだことはありましたが、いずれも金融危機を前に頓挫してしまいました。特に、2008年に起こったリーマン・ショック、さらにそこからの回復途上に起きた2011年の東日本大震災によって、日本はさらなる税収の減少と国債発行増大に苦しむことになりました。そのうえ、2020年からのコロナ禍により、国債発行額は異次元のレベルになっています。
借換債を含む国際総発行額でいえば、2020年度は250兆円超え、その後も3年度連続で200兆円超えの状態が続いています。その根本原因は、本当は増税しないといけないのに、選挙に勝つことを最優先して、歴代政権が嫌なことを後回しにしてきた点にあるのです。
今さえよければそれでいいという「キリギリス路線」を先人達が1970年代後半に選択し、それが修正されないままここまで来てしまいました。今はもうこの世にいない先人達にとっては、自らの負担を上回る利益を享受できたのですから、合理的な選択だったと言えるでしょう。そのツケはそう遠くない未来我々が払う羽目になります。
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