日本を増税でも賄えない「借金大国」にした真犯人 1965年までは「無借金国」だったのに…
社会保障費は、それまでは歳出に対する割合が15%ぐらいだったのに、1975年には22%を超えるほどに膨らんでいます。その原因は、この時期に老人医療の無料化、医療保険における高額療養費制度、年金額の物価スライド制が導入されたことなどが影響しています。
こうして社会保障費が増大した背景には、東京都などの地方公共団体の首長選挙で、老人医療の無料化をうたう候補者が相次いで勝利するといった現象が起きたことがあります。危機感を抱いた自民党は選挙で勝つために社会保障費を増大したのです。1973年は「福祉元年」とも言われています。
ですが、その社会保障費を賄うために必要な増税はされませんでした。国民の反発を招くと選挙に負けるからです。こうして税収と歳出の差がどんどん開いていく状況に対して、自民党は1979年に消費税を導入しようとしましたが、国民の猛烈な反対に遭い、断念しています。
増税をしてこなかった「影響」
こうして増税をしてこなかった影響は、上記のグラフを見るとよく分かります。税収は増えているけど、それ以上に歳出が拡大し、「ワニの口」のような形で、だんだんその差が広がっています。バブル期には、好景気で税収が増えたために税収と歳出の差は一時的に縮まりましたが、バブル崩壊後は景気対策のために減税し、国債の発行額もまた増えていきました。
これまで、どれだけ減税されてきたのか、税制改革をしなかった場合の所得税・法人税の推計値と、実績値を比較したグラフを見てみましょう。
バブル崩壊前から所得税と法人税の減税が始まっていますが、崩壊後からだんだん差が大きくなって、こちらもワニの口のようになっています。とくに所得税減税の影響が大きく、1999年度以降は改正しなかった場合との差額が10兆円以上になっています。よく見るニュースなどでは法人税の減税が強調されることが多いものの、実際には、所得税の減税の影響のほうがはるかに大きいのです。
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