日本車メーカーはなぜこんなに「お気楽」なのか EV軽視の姿勢が世界でシェアを奪われる結果に

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1970年代に起きた2度のオイルショックまで、デトロイトスリーは難攻不落のように見えた。1960年代から1970年代初頭にかけて、3社のアメリカ市場でのシェアは85%という驚異的な水準を維持していた。

その後、石油価格が突如上昇し、また世論の圧力に応えて、アメリカ政府は大気汚染物質排出基準を厳格化する。日本メーカーは、従来よりも小型で、信頼性が高く、燃料効率に優れた低公害車を投入する機会を掴んだが、アメリカ勢は燃料効率の改善と低公害車への移行の両面で抵抗した。

また、日本メーカーは、他社に先駆けてコンピューターチップを車に搭載した。10年足らずで、日本は世界最大の自動車輸出国となり、アメリカとヨーロッパの両方が保護主義的な措置を取ることになったのだ。今日、アメリカにおけるデトロイトスリーのシェアはわずか40%に低下し、77年間世界最大の自動車メーカーだったGMは、今やその座をトヨタに奪われている。

かつてのGMと同じ状態に見えるトヨタ

そして、GMが成功によって時代の変化が分からなくなったのと同じ状態に、日本メーカーも陥っている。トヨタの社長を退任したばかりの豊田章男氏は、過剰に宣伝されているとEVを軽視し、EVへの移行は化石燃料で生産される電力の需要を増加させるため、実際には炭素排出量を増加させる、という社会的通念を繰り返した。

豊田氏の後継者である佐藤恒治氏は報道陣に対し、「電動化を徹底して行うので、すぐに実現できる」と語っている。しかし、多くのアナリストは依然として懐疑的だ。

例えば、トヨタが2026年までに10車種、合計150万台のEVを生産すると発表した際、一部のアナリストは、2030年までに30車種、合計350万台を生産するという2021年の公約を下回っていると指摘した。トヨタから2030年の目標は発表されなかった。

ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスの予測では、2030年には、EVは日本の乗用車総数の2.5%を占めるに過ぎず、それに対してアメリカでは13%、ドイツでは23%となるとみている。

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