日本車メーカーはなぜこんなに「お気楽」なのか EV軽視の姿勢が世界でシェアを奪われる結果に
これも主にEVの影響に関するものだ。2022年末にかけての数カ月間、中国からの自動車輸出はEVが半分を占めていた。テスラやGMと、国営企業SAICの合弁会社など、海外メーカーが参画してこうした輸出車の多くを中国国内で製造している。また、BYDのような国内企業もEVを製造しており、同社は3万ドル程度の価格で裕福な国々に向けて輸出している。
2022年上半期、中国からの乗用車総輸出数のうち西欧向けが約34%を占めた。フィッチ・ソリューションズは、ヨーロッパのEV市場における中国のシェアは、2022年の5%から、早ければ2025年には15%に上昇すると予測している。つまり、日本メーカーは、中国国内だけでなく、収益性の高いグローバル市場で中国の競合に売り負けているのだ。
目を覚ましつつある日本勢
こうした中、日本の自動車メーカーがようやく目を覚まし、何らかの変化を起こしていることは朗報だ。トヨタは最近、2030年までにバッテリーEV(BEV)を250万台生産するという目標を発表した。この目標は、現在の世界販売台数の35%に相当する。
また、ホンダは、2030年までに現在の販売台数の半分に相当する200万台のBEVを生産することを目標に掲げている。以前は、ハイブリッド車を含む「電動化」に重点を置いていたため、BEVの目標はより曖昧だった。日産の目標は、2030年までに電化車を50%から55%にするという、まだ曖昧で圧倒的なものだ。
とはいえ、こうしたメーカーは、ハイブリッド車のように人気を失いつつある車や、プラグインハイブリッド車(PHEV)や本当に無駄な燃料電池車のように人気を得ることができない車に、巨費も投じて、まだ賭けをしようとしている。
【2023年5月18日追記】ヨーロッパにおけるBEVとハイブリッド車の販売台数について間違いがありましたので、修正しました
EVボリュームスによると、2022年にはBEVとPHEVを合わせた世界での販売台数はハイブリッド車の販売台数を抜いた。また、BEVの販売数はPHEVの3倍に上り、エレクトロマップスによると、ヨーロッパでは2022年、BEVの販売数が伸びた一方で、PHEVの販売数は落ち込んでいる。
2018年、アメリカではPHEVとBEVの市場シェアはともに0.7%だった。2022年末には、PHEVのシェアはまだわずか1.4%であるのに対し、BEVのシェアは6.3%に達し、今後も上昇することが見込まれている。
日本で起きている変化が十分なのか、それとも、「変化が小さすぎるうえ、遅すぎるのか」は現時点では見通すのが難しい。
皮肉なことに、日本の自動車メーカーがデトロイトスリーに対して行った仕打ちとまったく同じことを、中国勢が日本勢にしているように見える。さらに、有利な寡占企業が技術と市場の変化に適応できない、という同じ理由が原因となっているのだ。
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