武田薬品が京大と提携、iPSで何をするのか

10年で200億円を提供、共同研究の狙い

笑顔で握手を交わす。ここから新たなイノベーションが生まれるのか

「創薬のやり方を変える」――ウェバー社長は、会見でこの言葉を繰り返した。武田の最大の目標は、iPS細胞を活用して、効率的に新薬を生み出すことだ。iPS細胞と聞くと、病気になった組織を細胞で治療する再生医療のイメージが先行するが、実際は安全面のハードルが比較的低い「創薬」での利用のほうが早く普及すると見られている。

創薬の過程では、何万もの候補化合物から薬効がありそうなものを選び出し、動物試験で効き目や副作用を確認したあと、ヒトを対象に臨床試験を行う。最終的に世に出るまでに膨大な時間とコストがかかるが、iPS細胞を使うと作業の効率化ができる。

効能ないと思った薬が復活する可能性も

iPS細胞から神経、心筋などに分化させた細胞を使い、候補化合物の効果を見ることは動物実験より容易だ。しかも初めからヒトの細胞で実験ができ、安全性や副作用を確かめることができる。従来の方法では動物に効かない薬はその段階で葬り去られていたが、同じ化合物がヒトに効く薬として復活することもありえる。この新しい可能性に、世界の製薬企業から注目が集まっている。

今回の提携は、CiRAにも大きなメリットをもたらす。山中教授は武田について、「研究開発ノウハウや、いろいろな化合物の実績で国内トップを走っている企業」と評価。また、これまでの製薬企業との提携では、化合物の情報が部分的にしか開示されないなどの障壁があったが、武田との提携ではCiRAの研究者が武田の化合物を幅広く利用できる。

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