静岡リニア、露呈した川勝知事と流域市町の軋轢 「ああ言えばこう言う」と揶揄された対応の数々
これまで、大井川流域の関係者たちはJR東海と直接的な交渉はしていない。流域8市2町の首長や利水者および県が大井川利水関係協議会を設立し、県が窓口となってJR東海と交渉している。だが、議論がなかなか前に進まない事態を重く見た流域市町の首長たちはJR東海や国の意見を直接聞いてみたいと言い出した。
2022年12月3日、国の有識者会議の委員4人と大井川流域市町の首長の意見交換会が島田市内で行われた。会議の場では中間報告に関する意見交換のほか、高速長尺先進ボーリングの話題も出た。JR東海には山梨工区で山梨側から静岡側に向かって高速長尺先進ボーリングによる調査を行う計画がある。会議後の囲み取材で、島田市長は、「出席した首長はおおかた調査をやったほうがいいのではという意見だった」と話した。
静岡の水か山梨の水か
県は12月21日、県境を越えるボーリングによって静岡県内の水が山梨県側に流出するリスクがあるとして、「地域の不安や懸念が払拭されるまでは、現行の計画のままでのボーリングを実施しないことを強く求める」とする意見書をJR東海に提出した。
JR東海は、山梨県内で県境の800m手前からボーリング調査を開始し、県境の100m地点から先は地質や湧水量の変化に注意しながら慎重に削孔するとしたうえで、県境を越えるボーリング調査は山梨県側に流出する湧水と同量の水を静岡県側に戻す方法が実施可能となった場合に行うと回答。すると、県は、「100mの根拠を科学的に示せ」と迫った。
JR東海がその根拠を示すと、県は今度は「根拠が確定的ではない」と否定した。そこで、JR東海が県境より100mではなく300mの地点で慎重に削孔すると譲歩すると、県は300mの地点に達するまでに静岡県の水が山梨県側に流出したらどうするのかと言い出した。
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