仕事の効率が一気に上がる「2つの休憩」の取り方 デスクワークをダラダラ続けているあなたへ

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休憩時間は同僚や家族とおしゃべりをするいい機会です。「肩が凝った」「目が疲れた」などと明るく愚痴るのでもいいでしょうし、「ランチどうする?」「今度の休みはどこか行く?」など、オフの話題でおしゃべりしてもいいでしょう。

人間には、「現状維持バイアス」という、今続けていることを続けたい、変化したくないという心理特性があります。「休憩」はラクに思えますが、「現状維持バイアス」を変える、実は面倒な切り替えでもあるのです。そのためにも、「休憩」のためのバリアを低くしておくことが大切です。

目の疲れは「20・20・5」の法則で解決

もともとかなり長くなっていたパソコンやスマホを見る時間が、コロナ禍による対面打ち合わせの減少やオンラインワークの増加によって、ますます増えたという人も多いでしょう。

オンライン会議やデジタルワークで長時間にわたってパソコンやスマホのスクリーンを見ることは、乾燥(ドライアイ)の大きな原因にもなります。スクリーンを見ているときは、まばたきはなんと50%以下にまで減ってしまいます。目が見開かれた状態が50%も増えれば、涙液は蒸発してしまい、目がカラカラになるに決まっています。

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休憩や睡眠で回復する「疲れ目」以上に深刻なのは「眼精疲労」、つまり、頭痛や神経痛、吐き気に不眠など、ほかの症状まで出てきてしまった状態です。こうならないためにも、デジタルワークが増え続ける現代では、目を守る習慣が大切です。

オンラインワークが原因の眼精疲労を和らげるには、「20・20・20法」という、アメリカ眼科学会が推奨している方法が有効です。これは、20分おきに20秒の休息、20フィート(約6メートル)離れたものを見る、という習慣のことです。フィートは日本ではなじみがまったくないですし、5メートルが区切りがいいので、「20・20・5法」のほうがしっくりくるかもしれません。

パソコンの画面を見続けている間は、20分以内ごとに、スクリーン以外の5メートルほど先にあるものを少しだけ見ることが、目の疲労回復には大切だと覚えておいてください。

休憩の取り方を変えるだけで、1日のパフォーマンスも身体と心の疲れ方も大きく変わることを実感できるはずです。まず、30分おきの「小さな休憩」から始めてみましょう。

西多 昌規 早稲田大学教授 精神科医

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にしだ まさき / Masaki Nishida

東京医科歯科大学医学部卒業。ハーバード大学客員研究員、東京医科歯科大学大学院助教、自治医科大学講師、スタンフォード大学客員講師などを経て、現職。日本精神神経学会精神科専門医、日本睡眠学会専門医、日本老年精神医学会専門医など。専門は睡眠医学、身体運動とメンタルヘルス、アスリートのメンタルケアなど。著書に、『休む技術』『休む技術2』(大和書房)、『悪夢障害』(幻冬舎新書)、『自分の「異常性」に気づかない人たち』(草思社文庫)などがある。

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