日本看護協会(日看協)が毎年、実施している病院看護・助産実態調査によると、2021年度の看護師の新卒採用者の離職率は10.3%となり、現在の調査方法となった2005年度以来初めて10%を超えた。既卒の離職率も2021年度は16.8%(前年度14.9%)に上昇した。
日看協の福井トシ子会長は、「看護師の離職が、直接的にコロナの影響だったかどうかの判断は難しい」と前置きをしたうえで、こう話す。
「新卒の看護師は、コロナ禍で病院などでの臨床実習がしづらかった事情があり、生身の人間とのコミュニケーションが足りないまま看護師として現場に出た。新卒看護師がコロナ病棟に配属されることは考えにくいが、先輩看護師がコロナ対応に追われ、新卒看護師に十分に指導できない事情があったことは容易に想像できる」
福井会長はまた、「5類移行でコロナの感染力が弱くなることはない。入院患者への面会制限が緩和されることのメリットはあるが、その一方で、マスク着用など感染対策を怠れば、院内の感染リスクが一気に高まることを忘れてはいけない」と話す。
感染が一気に広がるクラスター(感染者集団)の原因は一様ではない。
例えば、前出の等潤病院。コロナ禍に3度、クラスターを経験しているが、1度目のクラスターは患者が起点だった。コロナ疑いの患者の入院はまず、個室管理してPCR検査で陰性になると大部屋に移される。その患者は発熱があるもののPCRは陰性。抗体が産生されていても検出できない、いわゆる「ウィンドウ期間」だった。その後に発症して、大部屋の患者と職員に感染が広がった。
コロナの教訓を今後に役立てる
では、5類移行を我々はどう捉えればいいのか。国際医療福祉大大学院(東京都港区)の高橋泰教授は、新たな感染症が出てきたときのために、以下のように指摘する。
「国民が根拠のない情報に翻弄され、風評に踊らされれば、いつか回りまわって、かかりつけの病院や介護施設の運営が困難になり、ひいては自分や家族が適切な医療や介護を受けられない状況になる。このことを国民が真剣に考えなくてはいけない」
コロナについての考え方は人によって違う。だが、感染を広めないという原則は今後も変わらない。最後に、参考になりそうな厚生労働省が発信している『新型コロナウイルス感染症、体調に異変を感じたら』というリーフレットを紹介する。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら