米中堅銀行の「信用危機」まったく収束していない ファースト・リパブリック銀の預金流出続く

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3月に金融危機が勃発して以来、ファースト・リパブリックはとくに脆弱な地方銀行と考えられている。同行の行方次第では、ほかの地方銀行や金融システムに対する投資家の心理に広範な影響が及ぶ可能性がある。

ファースト・リパブリックの経営陣は決算説明会で事前に用意されたコメントを12分間にわたって読み上げただけで、信用不安の緩和にはほとんどつながらなかった。同銀行は24日、従業員を最大25%削減するとともに役員報酬を減額すると発表したが、役員報酬の削減額は明示されなかった。

「これは信用問題だ。どの銀行もそうだが、信用が失われれば、お金は逃げる」。ニューヨーク大学の金融学教授、アスワス・ダモダランは電子メールでそう述べた。

ウルフ・リサーチのアナリスト、ビル・カーカッチは25日の調査ノートで、「尋ねることが許されなかった長い質問リスト」として、さまざまな疑問を列挙した。「新たな資金を調達せずに、どのようにして生き残るのか?」「富裕層の顧客から高く評価されている気配りの行き届いた顧客サービスを、それに携わるスタッフを削減しながらどう提供していくのか?」といったものだ。

自力再建の選択肢はほぼゼロ

政府管理や介入を受けずにファースト・リパブリックが自力で生き残る選択肢は乏しく、しかもそのハードルは高い。銀行を丸ごと買収する買い手は現れていない。ファースト・リパブリックを買収する銀行や投資家は同銀行の融資ポートフォリオを引き継がなければならず、最近の金利動向からして何十億ドルという損失を抱え込むおそれがあるためだ。

さらに顧客は当座預金口座、住宅ローン、ウェルスマネジメントなど、さまざまなサービスを利用しているため、ファースト・リパブリックを解体してバラ売りするのも難しい。

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