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"ダメ記者"から「文春」創った菊池寛の驚く人生 リーダーは"文豪社長"に学ぶべき事が多くある

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――昭和2年に『文藝春秋』が打った広告には「自分の心にムリをしてまで、難解な論文などの多い雑誌を読む必要はないでしょう」「六分の慰楽四分の学芸これ文藝春秋のモットーです」とあります。

門井 後発組の成功のカギの1つは、「同じ看板で違う内容(サービス)」かもしれません。端から違いすぎるとお客さんにとっては取っ掛かりがなさすぎる。だから同じとみせかけて、違うことをやる。『文藝春秋』は、ぱっと見は先行する総合雑誌と同じですが、中身は全然違いました。読者の等身大の興味に応える雑誌作りをしていたように思います。

自分より能力が高い人間には、すべてを任せる

――そうした経営手腕の一方で、社員を信頼しすぎるあまりに横領になかなか気づかず、会社存続が危ぶまれる経験もするような社長でもありました。

門井 文豪であり社長であるというと、なんだか途方もない偉人という印象を受けるかもしれませんが、人間としては隙だらけでしたし、狭義の経営手腕はなかった人でした。それでもなんとか会社を存続させられたのは、ピンチの時に周りが助けてくれる人望が備わっていたから。

横領事件の時でいえば、のちに社長となる佐佐木茂索という参謀が手腕を発揮しました。それまで、領収書ももらわずに経費精算するようなどんぶり勘定だった会社の経理を引き締め、財務を立て直しました。彼がいなければ、間違いなく文藝春秋は潰れていたはずです。

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菊池寛が偉かったのは、こういう時、任せると決めたら完全に任せられたことです。ある分野で自分より能力が高い人がいれば、その人にすべてを素直に任せられる。広義にはこれも経営手腕といえるでしょうし、それもまた人望に繋がっていくのかもしれません。

菊池寛の場合の人望は、この人のタメになりたい、助けたいというよりは、この人は自分が助けなきゃマズいだろうと思わせるところ。このまま放っておいたら自分が不安でしょうがない。助けてあげなきゃと人に思わせる、それも人望の1つかもしれません。

また、大きな失敗をするということは、大きな成功をする次に良いことだと私は考えています。大きな成功を収めれば人は確かについてくる。しかし不思議なもので、大きな失敗をしても人というのはついてくるんですね。

なぜなら、成功・失敗は結果論であると皆がわかっているから。大きなことをするから、失敗も大きくなる。だから、大きな失敗をするのも、人間の能力のうちの1つだろうと思います。

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