ネガティブ思考は性格ではなく、「脳疲労」だった 精神科医とうつ経験者が語る「ラクな生き方」
樺沢:「ちゃんと寝なきゃ」「ちゃんと働かなきゃ」といった「べき思考」で自分を追い詰めてしまう人も、心を病んでしまいやすいです。デラさんも以前は「べき思考」が強かったんじゃないでしょうか。
デラさん:はい、めちゃくちゃありました。「規則正しい生活をするべき」「週5で働くべき」「野菜をいっぱい食べるべき」「人に嫌われないように接するべき」……。「レジでお札を渡すときは向きを揃えるべき」みたいな、自分で勝手に決めて課していたルールもありましたね。
樺沢:真面目な人ほど自分に義務を課して、できなかったときに自分を責めてストレスを抱えやすい傾向にあります。メンタルが正常なときは自分を律するのも大切ですが、疲れているときは、できることをできる範囲でやるしかありません。寝坊してしまう日もあるし、野菜を食べない日や掃除しない日があったって別に困らない。もっとゆるく生きていいんです。
デラさん:「しょうがない」と思えるようになってからは、「べき思考」も一切なくなりました。先生が推奨されている朝散歩も、僕はしていません。「明日朝散歩をしよう」と決めると、それに向けて「何時までに寝なきゃ」とか「何時までに夕飯を食べなきゃ」とか考えることが増えて脳が消耗してしまうから。たまたま起きられたときに行くくらいの心持ちのほうが、楽しくできる気がします。……こんなこと言ってしまって大丈夫ですか?
樺沢:(笑)。それが本来の朝散歩のやり方ですよね。起きて1時間以内に外に出ることが大事なので、早起きしなくたっていいし、散歩時間も5分10分だけでいい。人によって楽しい運動は違うから、散歩が嫌なら筋トレでもヨガでもいい。「べき思考」にとらわれず、自分ができることや楽しめることから気楽に始めるのが、メンタル改善の近道です。