戦略の理想「ブルーオーシャン」の大きな落とし穴 AO入試でわかる「競争と無関係」が一番の理由

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カリフォルニアの女子ですとゴルフを選ぶ手もあるのですが、この15年ぐらいは、特にアジア系の女子の間で人気がある。そうすると、同じようなバックグラウンドの子供たちが競うことになるので、これも厳しい競争です。

そこで考えられるAO入試の競争戦略が、ブルーオーシャン戦略ですね。つまり、競争相手がいない、やっていない、やっていてもあまりいない活動、種目を選び、そこで良い成果をあげることです。

ところがこのブルーオーシャンの戦略には大きな欠陥があります

ブルーオーシャンよりも愛着心

第一に、そう簡単にそのような参加人口の小さい活動、種目が見つかるわけではありません。第二に、これが重要なポイントですが、サメのいない活動、種目が見つかっても、それが自分のやりたいこととマッチしていなければ、いくらサメのいない海でも、そこで良い成果をあげることはできません。

ですから、サメのいない活動を探すよりも、自分のやりたいこと、情熱をもっていること、愛着心をもって専念できること、エネルギーをたくさん感じる活動を見つけることのほうが大切です。

自分を知り、自分のプロトタイピング(向き/不向き、専念できる/専念できないを確かめる行為)を行い、自分をフローな状態(高エネルギーで専念している状態)にすることが本筋です。その結果として、競争を無関係にすることができれば、それが一番良い戦略です。

ここまでは、個人の戦略で述べてきましたが、企業の戦略でも同じことがいえます。戦略には競争相手が思いもつかなかったアイデアがあることが非常に大切なのは確かです。新しいアイデアをたくさん考え出し、自分たちの会社のミッション(将来達成したいゴール)に合致しているものに挑戦していくことが必要になります。

山脇 秀樹 ピーター・F・ドラッカー経営大学院教授

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やまわき ひでき

慶應義塾大学経済学部卒業、同大学大学院経済学修士課程修了。1982年にハーバード大学経済学博士号取得(Ph.D.)。1982年より旧西ドイツ国立ベルリン社会科学研究所上級研究員、1990年よりベルギーのルヴァーン大学経済学部教授。1995年よりカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)アンダーソン・マネジメントスクール客員教授を併任し、2000年よりカリフォルニア州クレアモントにあるピーター・F・ドラッカー経営大学院教授。2006年度より同校副学長、2009~2012年度に学長を務める。欧米のビジネススクールにおける初の日本人学長。

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