多選・高齢議員が跋扈、「地方議会」の悲惨な現実 町村議員の8割が60歳超、若手をくじく報酬事情
岡谷市に限らず、地方議員のなり手がいないのは全国の各地で日常化している。その理由の一つが報酬だ。
全国市議会議長会がまとめた「市議会議員報酬に関する調査結果」(令和4年12月31日時点)によると、全国815市(東京特別区を含む)の全国市議会議員の平均報酬月額は42.3万円。人口5万人未満は33.5万円まで落ち、逆に50万人以上は71.6万円と約38万円の差がある(政令指定都市は79.0万円)。ちなみに議員の最低額は18万円、最高額は95.3万円となっている。その差は5.3倍である。
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さらに町村議員となると、平均報酬月額は21.7万円。人口別では5000人未満が18.4万円、2万人以上が26.6万円となっている(「町村議会実態調査結果」=全国町村議会議長会=対象926町村 令和4年7月1日時点)。一般的に人口規模の小さい自治体ほど財政基盤が弱いため、報酬も低くなっているようだ。
町村議員の4分の3は兼業
実際、過疎地域の町村の報酬額は厳しい。東京都の離島の村議は月額10.0万円、山梨県の山間地の村議は月額12.1万円、新潟県の離島の村議は10.9万円しかない。
過去、無投票が続き、今回の選挙では定数割れとなった長野県のある村の議員が「現行の議員報酬は、生業としては成り立たない。生活費のかさむ若・壮年世代、議員活動を休暇で対応する定職のある方など、立候補の意思がありながら果たせない方に対する報酬を改正し、立候補を促したい」と議会で発言している。
町村議会実態調査では、議員を専業としている人は2593人で、全体の24.2%しかいなかった。4分の3は兼業というのが実態だ。議員報酬の低さが立候補者減少につながっているのは間違いない。
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