インバウンド商戦が復活、売れ筋商品は様変わり 百貨店の訪日客急増、中国偏重の戦略見直しも

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伊勢丹新宿本店のインバウンド消費はコロナ禍前を上回る勢いで急回復している(記者撮影)

4月上旬、東京・新宿の高島屋新宿店。11階にある免税手続きカウンターには、購入済みの商品を手にした外国人が平日にもかかわらずひっきりなしに訪れていた。

「今の為替を考えると、アメリカで買うよりずっと安い」。アメリカ在住の台湾人女性(33)は、フランスの高級ブランド「ルイ・ヴィトン」の商品を手に声を弾ませた。

コロナ禍以前、高島屋グループ全体の免税売上高に占める新宿店の構成比は約30%で、大阪店(50%)に次ぐ店舗だった。免税カウンターを担当する新宿店顧客グループの佐武康一係長は「ほとんどお客様が来られない時期もあったが、高級ブランドの購入を中心にかなり戻ってきている」と語る。

【2023年4月24日20時25分追記】初出時の免税売上高の説明について修正しました。

高島屋は3月の免税売上高が前年比3.8倍

コロナ禍で一時は壊滅的な状況になった、訪日外国人客(インバウンド)数が復活しつつある。

訪日外国人の推移

日本政府観光局は4月19日、3月の訪日客数が181.8万人となり、コロナ禍の影響がなかった2019年3月比で66%にまで回復したと発表した。訪日客数の増加に伴い、百貨店での免税売上高も急増しており、高島屋が4月17日に発表した3月の月次売上高によると、免税売上高は前年同月の3.8倍に増加した。

2019年3月との比較では39.1%減ではあるものの、コロナ禍以前は免税売上高の8割程度を占めた中国本土からの訪日客の回復が大幅に遅れていることを考慮すると、順調な回復ぶりといえる。高島屋だけでなく、東京や大阪など大都市部を地盤とする百貨店大手では同様にインバウンド消費の回復が顕著だ。

業界首位の三越伊勢丹ホールディングスでは、首都圏5店舗における3月の免税売上高が2019年3月比で0.4%減と、コロナ禍前とほぼ同水準に達した。中国人客のシェアが大きかった三越銀座店ではコロナ禍前を下回るが、伊勢丹新宿本店と三越日本橋本店では大きく上回って推移している。

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