──アニメ史の流れを「大づかみする試み」と冒頭に述べています。
不安がなかったわけではありません。インターネット上には多くの通称「警察」と呼ばれる人がいます。「あれに触れていない、これも触れていない」「記述が不正確だ」など、すべてをお見通しかのように判定する人たちです。日本のアニメ史をコンパクトにまとめる新書は、こうした熱心な人たちからの詮索にさらされるおそれがあります。
ただ、アニメを語ったり、作品をジャッジしたがったりする人はあふれていますが、意外に“幹”となるような知識はあまり共有されていない。アニメ・特撮の研究家として、その状況にもどかしさを感じてきました。
私は、2014年から最近まで明治大学大学院でアニメーション文化研究の教鞭を執っていました。学生に研究課題を与えると、「00年代以降にヒットを出したアニメ作家」をよく題材に挙げてくる。そして作品の新規性だとか、作家の特別な個性を証明しようと、いろいろな特徴を列挙してきます。
確かにそういう特徴はあるけど、私は、過去に別の作品でやっていた挑戦に似ている、映像表現として定番ではと思ってしまう。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
登録は簡単3ステップ
東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
おすすめ情報をメルマガでお届け
無料会員登録はこちら
ログインはこちら