中国の戦略的意図を感じるラオス中国鉄道の実態 国際列車の運転開始、観光地アクセスも向上

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中国製の特急列車は機関車が引いたり推したりする(写真:谷川一巳)

2022年12月、ラオス中国鉄道を利用した。乗車したのはヴィエンチャン―ヴァンヴィエン間往復(往路普通列車、復路特急列車)、ヴィエンチャン―ボーテン(中国との国境駅)間の特急列車、ボーテン―ルアンパバーン間の普通列車、ルアンパバーン―ヴィエンチャン間の特急列車である。

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東南アジアの最貧国に踏切のない立派な鉄道

ラオス中国鉄道は中国主導で建設、中国雲南省の昆明から南下、首都ヴィエンチャンまでが開通した。ただし、コロナ禍などの影響か国境を越えるのは貨物列車だけとなっていた(2023年4月より国際旅客列車も運行開始)。踏切がなく、目的地に向かって一直線に進む高規格の鉄道が、アセアン最貧国といわれるラオスにできたのが興味深い点である。長いトンネルが多く、単線であるが、そこを時速160kmで特急列車が走るので、かつての北越急行ほくほく線の「はくたか」を彷彿とさせた。山間の景色も北越急行に酷似していた。

ヴィエンチャン―ボーテン(中国との国境駅)間406km、全線を走るのは特急列車、普通列車それぞれ1往復、ヴィエンチャン―ルアンパバーン間に特急列車1往復、多客時は増発もされる。全区間の所要時間は特急列車で3時間32分、普通列車で5時間10分である。特急待避などは、設備はあるものの、現在のところない。需要の大きいヴィエンチャン―ルアンパバーン間(238km)は特急列車で1時間53分、2等車の運賃24万2000キープ(約1864円)である。

特急列車は片方に機関車があり8両の客車を引いたり推したりする。中国の高速鉄道は動力分散式であったが、ここへきて動力集中式も採用するようになった。普通列車は電気機関車が客車を牽引、中国の従来列車とまったく同じである。

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