中国の戦略的意図を感じるラオス中国鉄道の実態 国際列車の運転開始、観光地アクセスも向上

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旅客列車より貨物列車が多く、停車するたびに重連の電気機関車の引く貨物列車が待機していた。中国は一帯一路の構想を着々と進め、ラオス中国鉄道も物流重視の路線である。単線ながら、駅間距離が長い区間でもほぼ等間隔に行き違い施設があり、等間隔にするためなのか、半分以上の長さがトンネル内という行き違い施設もあった。

トンネル内の行き違い施設は建設費がかさむはずで、これは単線でも多くの列車を運行可能にした戦略的なつくりと感じた。線路はまっすぐ貫かれ、短区間に蛇行するメコン川を2回も渡る。蛇行する川を避けることもしていない。

システムは中国と同じ。駅の入り口とは別の場所に切符売場があり、切符がないと駅へ入れない。入ると荷物検査、改札は発車20分前くらいで、5分前には改札が閉まり、2分前にはドアが閉まる。そして1分前には発車である。乗車した列車すべて定時運行だった。

数両に1人の割合で車掌が常務するほか、売店や車内販売担当、清掃担当とスタッフが多い。車掌が荷物棚からはみ出た荷物を棚に押し込む様子も中国と同じだった。想像よりよかったのは、特急列車の売店で売られているサンドイッチで、車内で売っているものとしてはクオリティが高かった。

駅は、各駅で個性的なデザインに見えるが、つくりはどの駅も同じである。駅舎は少し離れないと全景がわからないほど規模が大きいのも中国流である。駅周辺は整然としていて、屋台などはなく、東南アジアらしさを感じなかった。

空港より遠い駅

ヴィエンチャン、ヴァンヴィエン、ルアンパバーン、ボーテンの各駅を利用したが、4駅とも街の中心からかなり遠く、周囲に何もないところばかりである。ヴィエンチャンとルアンパバーンには空港もあるが、空港より駅のほうがずっと遠く、駅までの交通手段にも課題があると感じた。タクシーすらほとんどなく、トゥクトゥクという三輪タクシーが主たる交通手段の国に、いきなり新幹線のような駅が郊外にできたので、駅へのアクセスが不十分に感じた。

駅が遠いので、切符購入も厄介である。売り出しは2日前の8時以降、購入はラオスの通貨であるキープの現金のみであった。しかし、駅員は「今は現金のみ」と話していたので、近々クレジットカードなども使えるようになるのであろう。切符売場の営業は1日3回に限られている。

筆者は下見も兼ねて駅で切符を購入したが、駅が遠いので、多くの旅行客は旅行会社で切符を購入しているようだった。私が泊まった宿でもレセプションに料金表を掲示、ヴィエンチャン―ルアンパバーン間の朝の特急列車は30万キープ、駅で買うより5万8000キープ(約447円)高い値段設定だった。

しかし、近々にも、中国同様にネット予約が可能になる予定である。

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