「政府の役割とは何か」古典派経済学に学ぶ本質 J.S.ミルの思想から考える5つの重要な問題点
さて、③−1の代表的なものは、言うまでもなく課税です。それは強制的なものです。しかし、近代国家における政府というものは、人びとがその強制を一部受け入れることで、成立していると考えられます。問題は、個人の自由にとって容認できる強制と、そうでない強制を議論することなのでしょう。
③−2については、次のように述べています。
とても深い議論だと思います。民主主義社会における政府は、いわば多数派によって選ばれた政府ですから、その政府が横暴な圧政者になってしまうと、圧迫される少数者には味方も行き場もない、と言っているのです。
政府と市場のせめぎあい
政府と市場と伝統は、その役割において常にせめぎ合っているイメージをもつべきです。放っておくと、力のバランスが変わってしまい、あるものが他のものを凌駕してしまいます。
政府の役割を考えるときには、政府に任せて終わりではなく、その力のバランスが崩れないよう、常に社会の側が監視していかなければいけないと言っているのです。
③−3については、それは政府の役割が増大することの問題点というよりは、政府がちゃんと組織されていないことの問題だとミルは言います。したがって、政府の組織と組織内の分業、権限の配分を適切に構成することが重要だということになります。
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