日本を輸出大国にした「コンテナ」知られざる凄さ ただの「鉄の箱」じゃない!グローバル化の立役者

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コンテナ化による具体的なグローバル化への貢献は、コンテナ輸送ネットワークの広がりが「生産拠点の分散」や「グローバルサプライチェーンの確立」を促すことによって生まれました。

例えば東南アジアで加工された部品を中国に送り、そこで組み立てた製品を日本や欧米に輸出する分業体制を広域で展開するには、コンテナ化を前提とした輸送システムが存在しなければ難しかったでしょう。

サプライチェーンの高度化はコンテナ輸送が前提

『コンテナ物語』の著者であるマルク・レビンソンは、コンテナ化が日本企業による輸出やアジアにおける生産活動に与えた影響について、以下のように言及しています。

コンテナ化は日本を輸出大国にした。日本の先進的な工業製品がヨーロッパやアジアの市場に浸透した後には、(日本企業による)海外への投資も増えていった。従来は内向き傾向だった日本企業も、1978年には米国への投資が10年前の10倍まで伸びた。台湾や韓国までの輸送が乱れることもなくなったため、これら地域の工場で、日本製部品をラジオや目覚まし時計に組み立て、他の発展途上国において低価格で販売するようになった。(中略)

1980年には、日本を除くアジアから(米国へ)の輸出量は1970年代初めに比べて11倍、(米国から)アジアへの輸入量もほぼ同じくらいにまで拡大した。国外工場での組み立てを通じた国際的な製品供給のラインが形成され、グローバリゼーションはまったく新しい段階へと進んだ。(著者訳)※Marc Levinson (2020), “Outside the Box”(日本語訳:『物流の世界史』田辺希久子訳、ダイヤモンド社)

コンテナ輸送については、「荷物を箱に入れて運ぶだけではないか」と思われるかもしれません。

しかし、現在の世界的な生産体制や貿易システムの確立にコンテナ化を欠かすことはできませんでした。製品の供給に伴って生じる、サプライヤー、メーカー、流通業者、小売業者に至るサプライチェーンの高度化は、コンテナ輸送を前提として進んだのです。

ここで、コンテナ輸送と小売業との関係を見てみましょう。

アメリカの『ジャーナル・オブ・コマース』誌は毎年夏に、前年のコンテナ輸出入荷主のランキングを発表していますが、ウォルマートは全米でも最上位の輸入荷主で、2021年で93万TEU(「TEU」は20フィートコンテナを1個とした単位)もの貨物を輸入しています。販売製品の多くは輸入品が占めているのです。

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