奇跡?「DeNA」が首位に立っている理由 「見かけの戦力」よりも、大事なものがある

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球団が大枚をはたいた選手だから、来日したら使わないわけにはいかない。もしグリエルを入れるとしたら3番・二塁。開幕から3番を打ち続けた梶谷は1番に回る。二塁を追われる石川は外野に回って若い関根、桑原らとセンターのポジションを争わなければならない。

早期の決断で、選手が試合に集中できる体制が整った

一塁のロペス、三塁のバルディリスと外国人野手が3人になれば、外国人4人枠の関係で外国人投手は1人しか出場選手登録できない。となれば先発のモスコーソが残り、中継ぎのエレラが外れることになる。
 はっきりしない状態が続けば、それぞれの選手が、まだ来ぬ助っ人の影を気にしながらプレーしなければならなかった。だが、早期の決断、発表で目の前の試合に集中できるようになった。

効果がわかりやすかったのが石川だ。グリエル契約解除発表当日の広島戦で6打数4安打の大当たり。2―2のスコアで迎えた延長12回には1死二塁から右前打を放って一、三塁とチャンスを広げ、梶谷のサヨナラ打を呼んだ。その後も好調に打ち続けている。

1軍定着が可能になったエレラは目下、田中と並んでチーム最多の9試合に登板。中継ぎ投手陣に欠かせない存在になっている。

打線もブルペンもグリエル解雇で八方すべて丸く収まり、昨年は3月と4月で通算7勝18敗と大きく出遅れたチームが、早くも10勝に王手を掛けているのである。

自由の身になったグリエルは先ごろ、米ヤフースポーツのインタビューに応じて「全選手の夢は最高のレベルでプレーすること」と大リーグ希望を示し、希望球団としてヤンキースの名前を挙げた。

オバマ米大統領とキューバのカストロ国家評議会会長が現地時間10日、中米パナマで歴史的な握手を交わした。両国の国交正常化が実現すれば、おそらくキューバの選手は亡命しなくても大リーグでプレーできるようになる。

その日が来たとき、現在30歳のグリエルに日本円にして10億円以上の複数年契約がオファーされるのは間違いない。グリエルは目の前の5億円を捨てても、それよりはるか上のビッグマネーを手にできるのである。

ただ…。余計なお世話かもしれないが、去年沖縄遠征を拒否した飛行機嫌いが大リーグの移動に耐えられるかな。快適なチャーター機とはいえ、空の上を飛ぶことに変わりはない。東海岸から西海岸は約6時間。東京―沖縄の倍以上かかる。

永瀬 郷太郎 スポーツニッポン新聞社特別編集委員

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ながせ ごうたろう

1955年、岡山市生まれ。早稲田大学卒。1980年、スポーツニッポン新聞東京本社入社。1982年からプロ野球担当になり、巨人、西武の番記者を歴任。2001年から編集委員。2005年に「ドキュメント パ・リーグ発」、2006年は「ボールパークを行く」などの連載記事を手掛ける。共著に『たかが江川されど江川』(新潮社)がある。野球殿堂競技者表彰委員会代表幹事。
 

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