EV普及で「オーストラリア」が超重要国になった訳 日本にとっても大事なリチウム供給国になった

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南アメリカ大陸西部を縦断するアンデス山脈は、西側のナスカプレートと南アメリカ大陸を乗せた南アメリカプレートが狭まることで形成されました。2つのプレートがぶつかることで、かつては海だった場所が、海水をたたえながら隆起し、現在のアンデス山脈を形成しました。そのためこの地域には塩原が数多くみられ、リチウムの埋蔵がみられるようです。

ボリビア政府は、世界のリチウム埋蔵量のおよそ70%がウユニ塩原下にあると主張しています。ウユニ塩原はまだ世界遺産に登録されていません。よって今後は開発が進むことは容易に想像できます。開発が進む前に、ウユニ塩原を是非観に行って欲しいところですが、ボリビアの地域住民からはリチウム採掘による環境破壊を心配する声が上がっています。

ペルーにもリチウムが埋蔵されている?

ボリビアのウユニ塩原がアンデス山脈の隆起によって海水が持ち上げられてできたものであるならば、「隣国ペルーでもリチウムの埋蔵がみられるのではないだろうか?」と仮説を立てて調べてみると、ペルーには近隣諸国を上回るリチウム埋蔵量が存在しているとのことです。これを主張しているのはカナダの鉱山会社Macusani Yellowcake社です。

資源用語に「マインライフ」というものがあり、「資源が枯渇するまでの操業期間」を意味します。つまり「鉱山寿命」という意味です。ペルーでのリチウム採掘のマインライフは、54年になるとの見通しがあるようで、これが「54年分も!?」なのか、「たった54年分……」となるかは、まだ未知数といえます。

SDGsに関連して、ESG課題というものがあります。これは2006年に当時の国連事務総長が金融業界に対して「投資家は、自らの投資によって環境や社会への責任を考えるべきである」と提言しました。

つまり、投資の際には「環境(Environment)」「社会(Social)」「管理体制(Governance)」を意識しようということで、これは「ESG課題」と呼ばれています。個人だけでなく企業の取り組みにも反映されるようになりました。

ESG課題への取り組みを怠ることは、その企業への悪い評価へとつながりかねないと考えられているわけです。世界的に「脱炭素社会」の構築を目指しているときに、ガソリン車にこだわることは企業活動にとってマイナスになりかねないということです。

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