EV普及で「オーストラリア」が超重要国になった訳 日本にとっても大事なリチウム供給国になった
世界最大のリチウム産出量をほこるのはオーストラリアです。日本はオーストラリアから、自動車の原材料となる鉄鉱石や石炭はもちろんのこと、液化天然ガスや肉類なども輸入しており、日本の経済発展、日本人の生活にとって必要不可欠な国です。
さらに日本とオーストラリアはほぼ同経度に位置しているため、日本からオーストラリアに向かう船舶は必ず東南アジアを通過します。つまり、日本の経済発展にとって東南アジア諸国との良好な外交関係も必要不可欠であるといえます。積極的な東南アジア諸国への投資が、オーストラリアがこれからも日本にとっての重要な資源供給地となっていくということです。
「地政学的リスク」という言葉の危うさ
こういった状況は「地政学的に重要」と表現されがちです。これは「鉱産資源の埋蔵や世界における地理的位置を考慮すれば、政治的に重要な場所となりうる」ということであり、地理学的にいえば「政治地理学」なのであって、個人的には「地政学」という言葉にはどうも違和感を覚えます。
日本人は、あまりにも「地政学的リスク」という言葉に落とし込んで、事象を詳細に説明できない人が多い印象があります。「わかったような、わからないような……」の好例が「地政学的リスク」という言葉ではないでしょうか。
さて、オーストラリアのリチウム産出量が世界最大という話をしましたが、「世界最大というより、ほとんどオーストラリアでしか産出していない」というのが現状です。一強状態というわけです。
実は、南アフリカ共和国で行われていたアパルトヘイトの廃止には、レアメタルが関わっていたことをご存じでしょうか?
レアメタルとは、「埋蔵量が少ない」「産出しても有用な量が少ない」などの金属のことで、世界では旧ソビエト地域、中国、アフリカ大陸南部などに埋蔵が偏在しています。同じく埋蔵が偏在している原油とともに、安定供給が難しい資源の1つです。
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