日テレ「スッキリ」10年出演した私に見えていた事 ワイドショーの問題と番組が直面した3つの死闘

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加藤さんの「まずい」「つまんねえよ」は芸人ゆえの発明だったのではないかと私は思う。

また、誰かが批判対象になっているケースで、コメンテーターが一人だけ擁護する声はあげにくい。しかしそのようなときにも、「コメンテーターが批判したければ批判してもいいが、擁護したければ擁護してもいい」と繰り返し念を押された。生放送ゆえの非同調のスリリングさを目指していたのだ。

予定調和はあったのか?

②予定調和問題。番組VTRが政権を批判する内容だとする。あからさまな批判ではなくても、街頭の声を拾って、政権に批判「的」な流れとする。政権とはあくまでも例であって、社会問題でも同じだ。要は、ある種の意図をもって番組VTRが作られていたとする。

すると、大きな流れは芸能人コメンテーターに「これは困りましたね」と感想を語らせ、専門家コメンテーターに問題点を語らせ、大御所コメンテーターにそもそも論を語らせる。それぞれの意見は過激に見えても予定調和がある。

しかし加藤浩次さんはあえて、この予定調和を崩す作戦をとった。私が印象的だったのは、初回の出演時だ。私は同番組出演前にもいくつもの番組に出ていたが、おおむね台本通りに進んだ。

いっぽうで「スッキリ!!」では台本を完全に無視していた。経済ネタだけにコメントすればいいと思っていた私はいきなり動物ネタでコメントを振られた。それ以降、いつコメントが振られるかわからない状況でスタジオに座していた。予想外の質問ばかりが来る。

SNSで「台本があるだろう」と言われるが、正確には「台本はあるが、その通りにいったためしがない」となる。さらに予定の時間も大幅に遅延した。心配になるほどだった。ワイドショーは1つの話題についてきわめて短い時間しか取り上げないが、これは加藤さんなりの反逆だったのではないかと私は思っている。

③コメント制約問題。少なからぬ番組では、事前の打ち合わせが長い。そして、根掘り葉掘り、出演者に予定の発言を聞き続ける。どのような発言をする予定で、その発言に問題がないかを確認される。もちろん放送局としてはリスク管理として重要なのだろう。

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