地図を見ても小此木さんの言葉が正しいことがよくわかる。このエリアは畑か工場か、そしてその間に住宅地が点在し、鉄道以上のインパクトを持って大きな道路が通っている。世良田駅の近くで交差する国道17号と354号は、東毛地域の軸となる幹線道路なのだろう。工場のおかげか大きなトラックもバンバン走っている。
一方、今回の目的である鉄道、伊勢崎線のこのあたりは昼間になると1時間に1本だけのローカル区間。浅草から東武動物公園まで、つまり都心に近い区間は東武スカイツリーラインという愛称を得て人口に膾炙している。しかし、本来は浅草―伊勢崎間が東武伊勢崎線、いわば本線格である。
なのに、終点の伊勢崎駅までやってくる特急「りょうもう」は1日上下1ずつだけで、太田駅まで伊勢崎線を走ってきた特急は桐生線の赤城方面へ向かう。
「やはりクルマ社会ですからね。国道も走りやすくキレイになっていますし、通勤で電車をご利用になる方はどうしても少ない。伊勢崎線も、通学のお客さまが中心ですね」(小此木さん)
通学路線としての伊勢崎線、中でも剛志(ごうし)駅などは比較的利用の多い駅だという。
「剛志駅の近くには伊勢崎高校がありまして、境町や伊勢崎の中心から通う方、太田方面から通う方などもいますね。また、新伊勢崎駅も高校がありますし、伊勢崎駅でJR両毛線に乗り換えて前橋・高崎方面に通う方も。そうした方に支えていただいているのが、伊勢崎線のこの区間ということになりますね」
こう話してくれたのは、太田駅管区で東武伊勢崎駅長を務める難波計久さん。
「伊勢崎駅はいまは高架でJRと改札も分かれていますが、以前は地上駅だったんですよね。その当時はいまよりも東側に東武のホームがあって、そこから西に歩いて行くとそのまま両毛線に乗り換えることができました。管理もJRさんでした」(難波さん)
市街地に近い新伊勢崎駅
伊勢崎駅の南側には伊勢崎の中心市街地が広がっている。むしろ中心市街地に近いのは伊勢崎駅よりも新伊勢崎駅のほうだ。こちらも伊勢崎駅同様に真新しい高架の駅舎。駅前にも広々としたロータリーが設けられている。
「以前は新伊勢崎駅の駅前から伊香保や前橋のほうまでバスが出ていたんですよ。駅の近くに広い空き地があるんですが、それは東武バスの営業所や工場の跡地です。市役所なんかも新伊勢崎駅のほうが近い。中心市街地までは歩いて10〜15分くらいでしょうか」(難波さん)
今回訪れた伊勢崎線の先端部分の中で、伊勢崎駅・新伊勢崎駅に次いで規模の大きな駅の1つが境町駅だ。境町駅の見どころは、その古い駅舎。いまでも瓦葺きの屋根が現役で、そこには東武鉄道の社紋を見ることもできる。また、上下線のホームが互い違いに並び、上下線の線路の間隔が開いているのも特徴。かつて貨物列車が走っていた時代の名残なのだという。
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