日米の株価が今後も下落基調にあると見るワケ アメリカでは銀行不安とは関係なく消費が悪化
前回のコラムで、これまでの消費は「コロナ貯蓄」(コロナ対策で過去に支給された現金が手元に積み上がったもの)を取り崩して支えられてきたが「それが底をつきかけている」という点を、数値を示しつつ解説した。
コロナ貯蓄がさびしくなっても、人間というものは一度行ったぜいたくをなかなかやめることができないことから、クレジットカード払いに頼っているのではないか、とも推察されている。
ところが、シティグループの調査によれば、週次のクレジットカード払いの金額は、3月第2週では前年同期比6.8%減、第3週は同10.3%減とのことだ。3月は、手元の現金が乏しくなり、かつクレジットカード払いに頼るのも限界に近くなっていることから、個人消費がかなり悪化しているものと懸念される。
アメリカ経済予測に暗雲が覆うのはこれから
3月のアメリカの個人消費悪化が明らかになるとすれば、そうした消費関連諸統計が公表されるのは4月半ばあたりとなる。その頃には2023年1~3月期の同国の企業収益の発表が行われていようが、S&P500種指数ベースの1株当たり利益は前年同期比5.3%減益が見込まれている(3月24日時点でのアナリスト予想集計値)。
昨年12月時点での予想値は同0.7%増益であったので、大幅な下方修正だ。かつ、2022年10~12月期は同3.5%減益で着地しているので、予想どおりとなれば2四半期連続の減益で、コロナ禍以来(2020年1~3月期、4~6月期)のこととなる。なお、コロナ禍の時期は2020年7~9月期までの3四半期連続の前年同期比減益であり、足元の予想値も2023年4~6月期まで3四半期連続の減益見込みだ。
先行き着々とアメリカ株やドルについての悪材料が仕込まれていると解釈でき、暗雲が覆うのはこれからだ。短期的な株価の戻りはありそうだが、銀行経営不安のいかんにかかわらず、主要国の株価下落を想定する。
(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)
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